戦略の実行に貢献しなければ役目を果たしたとはいえないというわけだ。理由は、企業の優劣は採用した戦略の優劣だけでなく、戦略を実行できるかどうかにより左右されると考えられたためである。
日本でも、失われた10年と言われるような、世界との競争で日本企業が勝ちにくい状況が続いたのは、戦略的な思考の不足と実行力の不足が原因とされた。東大の藤本隆広教授は、日本のもの造り能力は依然として強いが戦略の巧拙のところで逆転されていると指摘、一橋大学の竹内弘高教授は、日本企業はどこもコストと品質といったオペレーショナルな効率で競争し、バリューチェーンのどこでがんばり、どこでがんばらないかといった戦略に基づく競争をしていないと指摘した。