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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.10  HRMの創り方(4)部品の山の再定義 

 組織内一人親方という自律的プロ人材が好む生態系をどう創るかが、21世紀型人材マネジメントの課題であるとして、幅広く前提条件を検討してきた。前提条件の最後に検討しておかなければいけないことは、生態系を創るのに必要な部品の山(いくつかに分けられた施策の山、その山から2,3本、施策を引き抜いて束をつくる)の定義である。

 従来からあるのは、多くの会社の組織に見られる、採用、給与、教育、労務、福利厚生、といった区分だが、これだけでは施策の束が創り難い。なぜならビジネス・モデルにより、例えばどのような種類の従業員が必要かは、異なるため、ビジネス・モデルに関する説明がないと、コアとなる人材像が明らかにならない。それでは、採用の山からどの施策を選んだらよいか決めることが難しい。従って、始めに人材像を表現することに関係する施策の山が必要である。

 

ビジョンの役割

 ビジネス・モデルにより、お客さんは誰で、どういう価値を提供するかが決まれば、必要な人材像は、専門技術分野や、設計、営業など仕事の種類を示することにより、明らかになる。しかし、それだけでは十分でない。
 いろいろな分野の専門家が集まって仕事をする「理由」が必要である。その理由を説明するのが、会社のビジョンである。ビジョンの役割は、まず、「難しそうな目標だが、そういう理由なら一緒に努力をしても良い」と人に感じさせることである。その意味で、ビジョンは「目標となる遠くの旗」で、その方向に向かってジグザグしながらも、人々を歩き続けさせる魅力を持つものでなければならない。

 「人材開発で社会に貢献するために、ワールドクラスと認められる存在になる」というビジョンを掲げたとする。当然、そういうビジョンを掲げるには理由があるはずである。例えば、グローバル化する市場で、急成長するインドや中国の企業に対抗するためには高度なマネジメント能力が必要であり、そういう能力を育てることが出来る教育機関がどうしても日本に必要だ、と考えたとしよう。

「ワールドクラスと認められる」とは、ハーバード・ビジネス・スクールやGEのクロトンビル研修センターのような存在になるという意味で、なれれば素晴らしいが、相当の努力が必要なことも明らかである。この目標に挑戦しようとすれば、この目標の意義を理解し賛同する人を集めなければ、目標の困難度合いから考えて、達成することは難しい。
ビジョンは、目標を明確にすることにより、チームのメンバーに元気をださせたり、覚悟をうながしたりするだけでなく、この目標に賛成する人は参加してくださいという、集まる人の条件を示す役割をも担っている。

 

この指とまれ

 ビジョンを達成するためには、必要な力量を持つ人を集めなければならない。Vol(2)では、ビジネス・モデルによる競争は、ネットビジネスという新しいプレーヤーが出現しても、当分の間継続すると述べた。自律型プロ人材、一人親方、の数が、競争の結果を左右する時代が続くのである。その場合、ビジョンやミッションの役割が、さらに重要となる。何故なら、プロ人材は自分の専門性を意義あることに使いたいと考えるからだ。賛同できるビジョンがあり、自分の持つ技量が求められる仕事があれば、プロは喜んで働く。

Vol(3)で、グローバリゼーション3.0の時代は、個人が働く場所を選択する時代だと説明した。個人がそれぞれ自分らしい職業人ライフを求めて、自由に移動する時代には、企業は、個人に選ばれなければならない。そのためには、「このビジョンに賛成するもの、この指とまれ」という形で、ビジョンを明示しなければならない。

「この指とまれ」を実行するために必要な道具、それがビジョンである。

 
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