地域本社の機能で、現地法人側および日本の事業部門側から最も歓迎される機能は、職能別のサポートである。例えば、北米に進出した事業部別の現地法人子会社が5社以上あったとして、それぞれの会社が法務部門を持つことは、コストのうえからも現実的ではない。日本の法務部門が日本からサポートするのも効率的ではない。地域本社の法務部門を充実させ、そこの現地人社内弁護士が各社でおこる法律問題の解決を支援するのが合理的である。(費用の負担については、次回で解説する)資材調達なども、まとめて発注することによるコスト低減効果があるので集中購買が有利である。
日本の事業部門が、新たにその地域に進出しようとする場合、税や環境に関する法制度、労使関係や処遇水準など必要な情報を、地域本社から入手することが出来る。このような視点からは地域本社は、理屈の上では望ましいものなのだが、実際には屋上屋を架する組織として歓迎されない場合も多い。地域本社が実際に機能するためには、現地法人との役割分担上の工夫がいろいろ必要となる。このことは、国内でおこる本社と事業所の関係とよく似ているのだが、より明文化されたルールや地域本社はどのようなことをする部門なのかについての説明が要求される点が異なる。(これについては、いずれグローバル化プログラム レベル2で詳しく触れる)