組織の役割は、組織を営業だとか製造だとか経理だとかグループ分けすることにより、「分業の度合い」をコントロールすることにある。分業とは、一人の人が全部の仕事を実行するのではなく、仕事を分割し担当を専門化することにより、効率をあげる仕掛けである。どの範囲の仕事を一つのグループと区分けするかによって分業の程度が決まり、効率のレベルも決まってくる。区分けされたグループは、その活動に必要な資源(人や資金、設備や知識)を入手し、それらを効率的に活用することにより、ビジネスモデルの実現をめざす。
「分業することにより効率を上げる」といったが、それには二通りの意味がある。一つは専門性を生かすことにより効率をあげるという考え方、もう一つは責任をはっきりさせることにより効率向上に役立てるというものだ。
後者を更に進めると収支責任という考え方に発展する。製品別のグループ分けとか地域別のグループ分けがそれに相当するが、それは組織そのものが非常に大きくなった場合にとられる効率向上対策(事業部組織と呼ばれる)である。ここでは、組織の役割をその原理原則から考えようとしているので、分業の一番の元である「区分によって生まれる専門化」によって生まれる職能的な区分(機能別組織)を中心に話を進めたい。
組織が重要なのは、このグループわけが上手かそうでないかにより、競争に勝てるかどうかが左右されることだ。そのため、組織は競争優位性の源泉と考えられ、組織の作り方について多くの議論が生まれてきた。