一方、緊急展開部隊を持っていたとしても、その部隊を出動させるのは、どんな時かというR意思決定のルール(手続きや判断基準)が決まっていなければ、すみやかに出動させることが出来ず、勝機を逸してしまう。出動に必要な手続きがルーティン化されていなければならないのだ。
緊急展開部隊を出動させる時期とは、新しいビジネスモデルがぼんやりと見えたときである。これは丁度、ベンチャーキャピタルがビジネスに投資をするかどうかを決定する時期と同じころである。通常、日本企業が投資を決定する社内手続きは、常務会などへの提案が必要で、そのため関係部署などにいろいろ根回しが必要になり時間がかかる。
この問題を避けるため、新規事業開発室などの名称を持つ組織を作り、新規事業案件だけ迅速に審議する仕掛けを設けるケースはよくある。この仕掛けがあまり機能しないのは、そもそも企業に所属しながらベンチャービジネスに従事するというのでは、リスクのかかり方に大きな違いがあるので、旨く機能しないケースが多いのだが、新規事業開発室をベンチャーキャピタルとして扱えば話は少し違ってくる。
a) 独自の基金を持ち使い道を判断させる。
b) 責任者は、将来のCEOと目される人で、失敗すればその道はなくなる。(1勝9敗でも1勝で大きく稼ぐことが出来ればよいので学習のチャンス大)
c) 緊急展開部隊は、困難な場面に投入しリーダーシップなど将来の経営幹部としての資質を判定する場であるということを明確にしておく
などの条件を整備すればよい。要は、「社内ベンチャーキャピタルの出資決定により緊急展開部隊は出動できる」とするのである。