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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 

VOL.93  リーダーシップ開発(14) 状況への働きかけII ステージ別の対応

リーダーの行動は、チームビルディングのステージにより異なるべき

  グループ討議でグループの意見をまとめるプロセスは、チームビルディングのプロセスと同一で、立ち上げ期、混乱期、平常化期、活動期、終息期という5つのステージを経過する必要がある。
上手くいかないのは、(1)立ち上げ期にテーマについての認識が揃えられない、(2)混乱期を回避しがち、(3)平常化期に組織の三役(村長、助役、収入役)の役割分担が上手く決められない、(4)活動のルールがうまく設定できない、(5)終息期の活動を行わない、などが理由である。

リーダーはそれぞれのステージで果たすべき役割があるし、当然のことながらフォロワーにも担当すべき役割がある。リーダーの役割は、上記の立ち上げ期から終息期までのプロセスが順調に進むよう、状況に働きかけるのが仕事である。

 

立ち上げ期のリーダーの役割

  チームが目指すことをメンバーに徹底することが最大の課題で、目標が選ばれた理由や、チームのメンバーをどういう基準で選んだかなどを具体的に説明しなければならない。活動についての大まかな方針(これについては、後程メンバーと十分議論することを前提に、チームとしてどんなことをするかをイメージしてもらうためにおこなうものだということを明確にして説明する必要がある。各人の役割分担についても同様)についても触れなければならない。これらを事務局が代行するケースもありうるが、基本はリーダーが自分でおこなうべきことである。

  目標については、最終目標とそこに至るために必要な中間目標、さらにブレークダウンした小目標など、目標の階層の設定は今後の活動の中で決めていくこととして良いが、最終目標が選ばれた理由については十分に説明の必要がある。

通常最終目標は、問題だと認識されている事柄を解決する目的で選択されるが、メンバーの現状認識(たとえば、問題の大きさや、問題を放置した場合のリスクについての受け止め方)に大きな差がある場合は、まずこの点を共有化しなければならない。その場合は現状に対する不満についての認識の共有化が立ち上げ期の重要なテーマの一つになる。この場合リーダーの役割は、各人がどのように認識を持っているかを引き出すことで、先頭に立って現状説明を行うことではない。
 

問題を解決したあとの景色

  チームの目標の説明の一つに、「目標を達成したとすると何が嬉しいか」が含まれなければならないが、これは時々忘れられがちである。自明のこととリーダーが考えてしまうためだが、実際は何が嬉しいかは、職務や組織の方針についての意見によって異なるケースが多い。例えば問題解決の結果、特定部門の業務量が増えることが予想されれば、その部門にとってはあまり嬉しくない。ハイテク企業としてのイメージを大切にしたいと考える向きには、今後先端事業として伸びると思われている分野からの撤退は嬉しくないだけでなく、できれば避けたいことである。

それ故、そうしたデメリットの存在が想定される場合については、対応策について解説する配慮が望まれる。事前に問題解決後の景色について考えておくことは、チームを設立しようと考えた人や、リーダーを引き受けた人が検討しておくべきことである。グループ討議の場合は、「結論が出るまで分からない」ではなく、仮の活動方針の決定時に、特定の人に負荷がかかる解決案とはしない、とか組織の本来のビジョンに沿ったものになるよう努力するといった、ざっくりとした活動の留意点について触れておくことも準備作業として大切である。

 

終息期のリーダーの立ち位置

  チームの活動のステージごとのリーダーの役割について詳しくは、拙著「チームビルディングの技術」を参照してもらうことにして、一つだけ強調したいことがある。それは活動を通して習得したAh−Haの整理についてである。リーダーは先頭に立って、組織が習得したものと、各人が習得したことを振り返り整理する作業に取り組まなければならない。特に個人が獲得したAh−Haを、それぞれが点検することを奨励、いや義務付けるくらいにすることがリーダーにもとめられる。これが後々の状況に変化を与えるからである。

  「人を育てなければチームではない」、「勝っても負けても一試合毎に強くならなければ、競争に勝てない」が、長く続く競争に対処するための基本だからである。だが、そのためには、チームメンバーの選択の際、問題解決のために必要という視点だけでなく、この機会を活用して育てたいという視点からあらかじめ良く考えておかなければいけないし、選ばれたメンバー各人の何を育てるかについても各人のキャリアゴールを考慮に入れて検討しておかなければならない。

また、チームに人員を引き抜いた後、チームに加わらなかった人に対する効果という点も見ておく必要がある。ベテランが引き抜かれたおかげで若手にあらたな責任が加わる、という状況が生まれることが望ましい。
  よい終息期のための種は、立ち上げ期にすでに播かれていなければならないのだ。

 

 

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