ホーム  
3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 

VOL.99  企業文化(5)変えるにはどうするかIII

 

複数の時間軸を持つメリットの追求

  時間軸の基準は事業や商品によって異なる。このため総合電機のように幅広い製品を持つ場合には多数の時間軸を持つことになるので、半導体、家電、重電といった事業別の管理体制、事業部制の導入は、不可欠である。本社機構は多数の時間軸に対応することを迫られるが、当然難しいのでトラブルはさけられない。多角化のメリットよりは、コングリマリット・ディスカウントという形でディメリットの方に評価が偏るのも当然である。

それ故、変えるための戦略は、複数の時間軸を持つことのメリットを生かす方向にむけて策定されなければならない。ある事業部門の業績が落ち込んでも他の事業で補うといった形で、会社全体としては比較的安定した業績を保つというのが最低限求められることであろう。だが、それではものたりない。

戦車の戦闘方式の変革

  軍事戦略の場合、時間軸基準(行軍速度)の差を利用して相乗効果を狙うのが戦車と歩兵の協働である。第二次大戦のドイツの電撃作戦は、敵の防衛ラインの弱いところを戦車部隊が突破、速度を活かして敵の背後に廻りこみ司令部や補給部隊を攻撃、防衛側が侵入した戦車に対応するための戦線の整理に忙殺される間に、戦車が開いた突破口から歩兵がなだれ込むというものであった。

ところが、戦車の機関銃の射程外から発射できる歩兵用携帯型対戦車ミサイルが開発されると、この作戦は採用しにくくなる。1台1億円もする戦車を3〜40万のミサイルで破壊されては、費用対効果が合わないからだ。1973年、第4次中東戦争初期、イスラエル軍の戦車部隊がエジプト歩兵部隊のミサイルにより大損害を受けた時には「もはや戦車は時代遅れ」という声が強くなった。しかし、そこで工夫されたのが行軍速度の異なる部隊の協働である。

  砲兵隊(動かない)は戦車(速く動く)の進撃速度に合わせてその前向を砲撃、戦車はその弾幕に隠れて前進、機銃掃射で弾幕の内側に入った歩兵の頭を下げさせ、ミサイルの照準を合わせる機会を与えない、戦車の後に続く歩兵(遅く動く)が、敵のミサイル歩兵と交戦、撃退するという戦術である。砲兵の射程外に戦車部隊が出た場合は、あとは航空機(さらに速い)が砲兵の役割を引き継ぐ。近接航空支援である。(この方式は、対戦車ミサイルを装備する攻撃ヘリの登場により、さらに複雑化するが、ここでは省略)
 

事前課題、e-learning、クラス、宿題、という学習方式の変革

  3DLAのセミナーの方式も、行軍速度(この場合は、到達目標とそれに至るための頑張り度合の程度)に着目し、学習の効果をあげようとした変革である。カリキュラムは、次の(1)から(5)まで順番に取り組むように作られている。((6)は希望者のみ。)

(1) 課題図書の感想文の提出(自分で行軍速度を選べるが締切りがある。次のe-learning とクラスの授業の予習になっている。)提出するとe-learning のパスワードを付与

(2) ブレンド型e-learning  (自分で行軍速度を選べるが2週間以内に修了、テストに合格しないとクラスに進めない。追試あり。クラス授業の予習になっている。)

(3) クラス(行軍速度は選べない。即応しなければならない。講師に意見を求められた時やグループ討議の時、直ぐに対応しなければならない。

(4) 毎回の宿題(行軍速度は選べるが、1週間以内に提出しなければならない。クラス授業の復習・予習になっている。)

(5) リエントリープログラム(行軍速度は選べるが、1週間以内に提出しなければならない。)

(6) 延長戦(Q&A中心なので即応しなければならない。)

全体として宿題の出来不出来(宿題は全員と交換する)や授業中の講師のコメントなどで、自分の実力が他の人と比べてどの程度か判定でき、が要求されているか、などを次第に理解するようになる。

  従来の授業のやり方では、講師が提供する情報のうち受講生は自分の行軍速度に合う情報だけを取得する形になりがちで、学習効果は低い。そこで、自分で選んだ行軍速度と求められている行軍速度の違いを理解させることにより学習の効果を高めようとしたのが上記のカリキュラムである。専門用語でいうと予習を主としクラスを従とする、反転授業と言われる方式に相当する。時間軸基準の変更を促す工夫と言える。

  では、企業文化を構成するもう一つの基準、顧客基準の変更の場合はどうか、次回はこれについて考えてみよう。

 

 

前のコラムへ バックナンバー一覧 次のコラムへ

「21世紀型人材マネジメント―組織内一人親方に好ましい生態系の創り方―」をテーマに、これからも関島康雄のコラムを掲載していきますのでご期待ください。また、このコラムに関するご意見・ご感想もお待ちしております。
※ご意見・ご感想はメールにてお寄せください。メールアドレスは連絡先のページを参照願います。

Copyright since 2006  3DLearningAssociates All Rights Reserved.