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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 

VOL.101  企業文化(7)変えるにはどうするかV

 

効力感基準の変更

  効力感基準は、これまでに蓄積された経験から生まれた「頑張ればこの程度のことはできる」と感じる水準のことである。これは自分の力量である時間軸基準にも顧客基準にも関係するが、要は、実行できるかどうかの判定に使われる感覚である。実行できるかどうかは、一つは、自分が現在持っている能力を転換する能力で決まる。「こういう分野の製品は開発したことがないが、これまでの経験を活かせば6か月もあれば何とか作れるようになる」といった自信がそれである。

もう一つは、自分の持っている資源の再配置能力である。「足りない技術分野の人材を補強し、不要となった人材を整理する」といった作業を所定の時間内に出来るかどうかである。時間がかかり過ぎれば、チャンスを失ってしまうかもしれない。

いずれも過去の経験からの判断なので(事前のリサーチが十分でないと)楽観に過ぎる可能性は高い。大きなタンカーは創れても、豪華客船は大失敗という事例がそれである。ただし、現在の効力感を使って、文化を変えるのはむずかしい。文化も効力感も過去の学習のたまものであるからだ。文化を変えるには、新しい効力感を創り出す必要がある。
 

新しい効力感基準を創るための測定

  このくらいの事なら頑張ればできると考える前提には目標と現在の立ち位置との距離の判定がある。新しい効力感基準を創るためには、距離の判定を新しい要素を使って行わななければならない。 例えば、

  1. 自社の新技術あるいは新開発プロセスのどれが役に立つか
  2. サプライヤーの創り出したイノベーションのどれと自社の能力を組み合わせると有効か
  3. 新しい分野のことをどのくらいの時間で学習できるか

など。
  それらを使って判定した結果、達成は「とっても無理」と皆が思う目標であれば、いきなりのチャレンジはむずかしい。中間目標を創って、取り敢えずこれにチャレンジしてみよう、と言った選択になる。文化の変更に要する努力量、どのくらい頑張らなければいけないか、の測定も重要である。

環境条件を自分の都合の良いように変える

  事業を補完する機能には、部品材料の供給だけでなく、ロジスティックスやIT関係のサービスなどいろいろなものがある。それらを自分の都合の良いように変更するために、仕事のやり方を工夫するという方法もある。単なるアウトソーシングではなく、戦略的なアウトソーシング(仕事を出す方と、受ける方の双方が戦略的に強化したいと考えることに有効なアウトソーシング)の実行、分野を特定した協力関係の締結、広く参加者を募って行うオープン・イノベーションの採用などがそれである。

ビジョナリー・リーダーが必要

  コラムvol.95で述べたように多くの場合、文化は、変化の抵抗勢力である。ビジネスモデルの設定、すなわち顧客の選択や提供する価値、競争の勝ち方に、企業文化は深くかかわっているからだ。先に述べた、組織が持っている能力を別の方向に向けたり、持っている資源を再配置したりするのは、経営者の仕事である。しかし、それだけでは文化は変わらない。その時必要なのは、こちらの方向に進めばこんないいことがあると人を説得するビジョナリー・リーダーである。

 『I have a dream』肌の色や宗教や性で差別しない国を創るという夢について語ったマーチン・ルーサー・キング・ジュニアさんがその典型だが、大きな夢によって人を引き付けることが出来なければ、人はその方向に向かって歩きださない。効力感基準の変更には、変化のプロセスをマネージする経営者とビジョンを語るビジョナリー・リーダーの両方が不可欠である。

 

21C型HRの全体像のまとめに入ろう

  企業文化についてのシリーズは以上で終了である。このコラムも100回を超えたので、そろそろまとめに入らなければならない。次回以降、これまでの議論を整理するとともに、残る問題は何かについて考えたい。

 

 

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「21世紀型人材マネジメント―組織内一人親方に好ましい生態系の創り方―」をテーマに、これからも関島康雄のコラムを掲載していきますのでご期待ください。また、このコラムに関するご意見・ご感想もお待ちしております。
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