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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 

VOL.103  今後の方向(2)三つの手掛かりの最新バージョン

 

競争

  ビジネスモデルによる競争は継続中だが「複雑性の制御」という課題は、変化の速度が上がったため「不確実性の制御」に置き換えら始めている。新技術によるものだけでなくビッグデータやAIの活用により、製品やサービスに新しいものが次々と生まれ、事業経営の不確実性が高まった結果である。その結果がテクノロジー・ライフサイクルの形状変化で、正規分布型だけでなく、急速にマジョリティに到達しほどなく市場から消えてしまうシャークス・フィン型が頻繁に出現するようになってきた。

対応策として、リーン・スタートだとかリアルオプションという考え方があるが、不確実性の制御は難しいので、対抗策として変化に素早く対応するための能力、即応力を高める努力が求められ、俊敏(agile) や目標に到達するための旅程(journey)、変化への備え(readiness) が重視され始めている。

 

正解は一つか多数か

  多数説だが、新種が登場している。従来からある自由度が高い市場を前提とする英米型資本主義と、自由だが規制も多い市場を中心とする日独型資本主義に加え、市場への介入が多く国営企業の力が強い国家主導型資本主義がそれで、中国の成長に刺激され、同様のスタイルをとる国が増えている。国家主導型資本主義が今後さらに規制を強め、自由な市場という前提から離れていくのか、政経分離をすすめ規制緩和の方向に向かうかは不明だが、経済の成長とともに市場の自由度が高まるという期待はたびたび裏切られている。

  一方、市場という視点からながめると、グローバル化が進むとされた前提は、「自由に取引のできる市場の拡大」だが、おおらかに信じることは難しくなってきている。EUからのイギリスの離脱やトランプ大統領のアメリカ・ファーストに代表される、「自国あるいは地域の経済中心主義」が広がってきているからだ。市場が分割されれば、その市場に適応したビジネスが生まれるので、均質化とは反対の方向に進むことになる。経済の発展段階ごとに、適した市場と企業の形があるという見方での「均質化」は残るが、それでは「多様化」との区別に、多様化イコール国別資本主義と考えるか等の、新たな定義が必要になる。

 

検討の手掛かりの再検討

  ビジネスモデルの支援という任務は、(1)お客さんとの良好な関係の維持の関係から、価格よりはブランドの重視へ、(2)変化に対応する意味では、二兎を追うことを普通とする仕掛けの構築へ、(3)競争に勝つためには自分の特徴点を活かさざるをえず、その意味で好き嫌いが大事、という方向に動いた。(1)〜(3)をまとめると、「独自の企業文化を支援するのがHRMのミッション」が、これまでの結論であった。

この傾向はつづくと思われるが、外部環境の変化に着目すると、

  1. (1)変化に対する即応性の要求から、より柔軟な組織構造、指揮命令系統が必要になる。そのため機能組織単位の自律性を高めなければならないが、ガバナンスの仕方に留意しないと勝手な動き方になってしまう。それを制御するものとして、たとえば進む方向を示すものとしてビジョンの設定能力及びその改定能力、変化に適応するために自己の変革をリードする能力がより重要になってきている。
  2. (2)現在もっている能力だけで闘うのではなく、将来獲得する能力も含めて闘うという考え方の強まりとともに人材については、一層make or buy の判定が重要になる。即応性にウエートをおくと必要な人材を直ちに採用するという意味でbuy が中心となるが、readiness にウエートを置けば、緊急即応部隊や威力偵察部隊を育てておく必要がありmake が中心となる。いずれにしろ多様な人材をattract & retainするためには、個人別労働契約が人材マネジメントの基本とならざるをえない。
  1. (3)長寿命化はHRMの施策に大きな影響をおよぼさざるをえず、長寿命化対応は今後の大きな課題の一つになる。上記の個別労働契約はその解決策の一つである。
  2. (4)企業が生息しやすい環境維持という意味では、社会的責任を正しく果たさざるをえず、その妨げになる強欲資本主義対策などは、ダークサイド(株主中心主義)をとるか、正義の味方派(ステイクホルダー中心主義)をとるかにかかわらず、取組が不可欠なテーマになる。

  21C型HRMの新バージョンを確定するには、上記の手掛かりの変化を参考に、これまで述べたことのどの部分を修正すべきかを考えればよい。次回以降、人材マネジメントの創り方から順番に考えてみよう。

 

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