ホーム  
3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(3)

 
第12回 ウォートン・リーダーシップ・コンフェレンス参加報告 II

トータル リーダーシップ

 コンフェレンスでは、8人のスピーカーが話をしたが、なかでも会議のタイトル、 リーダーシップの最新潮流Emerging Trends in the Search for Leadership に最も相応しいと思った、ウォートン・スクールのフリ−ドマン教授 Stewart Friedman の講義を紹介しよう。タイトルは「トータル リーダーシップ」で、副題が、「より良いリーダーたれ、そして、より豊かな人生を Be a Better Leader, Have a Richer Life 」であった。

教授は、現在求められているリーダーシップは、人生の各領域に着目し、それらの間の調和を追及するタイプのものだという。各領域とは、仕事・キャリア、家庭・家族、コミュニティ・社会、それに自分自身(体と心の健康および志)の四つである。
「ビジネスの世界で発揮すべきリーダーシップは、単にビジネスに関することにたいしてではなく、人生にたいしてである。」という意見は、商品開発や人材育成のプロセスを思い浮かべるとき、本当にその通りと感じられた。
 

目的は、四つの勝利 From one-way to four-way wins

  トータル リーダーシップ とは、仕事なら仕事という一つの領域でよい結果を出して満足をえるのではなく、「四つの領域すべてにおいて努力し、満足も得るようリーダーシップを発揮すること」を意味する。一つの領域に集中したため、本来、他の領域から獲得できるはずであった価値を失ってしまうといったことがないよう注意を払い、領域間の対立が起こらないよう努力する力である。

「仕事か家庭か」、ではなく「仕事も家庭もコミュニティも自分自身も」である。

 

関心の配分を変えると満足度も高まる

 教授の研究は、四つの領域の重要度についての認識を変えなくても、関心の配分を変えるだけで満足度もアウトプットも高まるというものだ。

重要度の合計を100とした場合 仕事と家庭の重要度はイコールでそれぞれ34、コミュニティ12、自分自身20、といった配分が平均的であり、関心の配分は、仕事が一番高く56,家庭が23,コミュニティ7,自分14という数字が普通である。
このとき重要度についての意見はほとんど変えなくても、関心の配分を、仕事のウエイトを12下げて44とし、家族に対する配分を5あげて39、コミュニティを4あげて11、自分自身を3あげて17としただけで、それぞれの分野の満足度が、仕事から順に21%、27%、31%、39%向上したというものである。

つまり、関心度の低い分野、家庭、コミュニティ、自分といった領域に対する関心度を上げるとそれぞれの分野のパフォーマンスが改善され、仕事のパフォーマンスも高まり満足度も高まるということだ。

 

仕事(と家庭)に、かたよりすぎ

 教授は、米国のビジネスパーソンの問題点は、仕事と家庭に時間とエネルギーの配分がかたよりすぎていることだという。多様な価値観を持つ人びとを相手にしなければならない現在、それでは相手を十分に理解できず、結果、リーダーシップも発揮できないと指摘する。

ひるがえって日本では、まだ「仕事ばかりでなく家庭も」という段階で、なかなかコミュニティや自分、といったところまで手が廻っていないというのが本当のところであろう。しかし、四つの領域間のウエイト調整という考え方は、大いに参考にするに値する。

私も、「仕事と家庭」というに領域からコミュニティと自分を加えた四領域に、関心の対象を広げ、仕事以外の領域への配分を増やさなければいけないと大いに反省した次第。

以上  

 
前のコラムへ バックナンバー一覧 次のコラムへ

※この関島康雄のコラムについてのご意見・ご感想がございましたら、メールにてお寄せください。
   メールアドレスは連絡先のページを参照願います。

Copyright since 2006  3DLearningAssociates All Rights Reserved.