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コーヒーブレーク(5)

 
女子オープンボランティアの記 II

事前打ち合わせ

 ゴルフトーナメントを運営するためには、非常に大勢のボランティアが必要なことは説明しました。毎年同じゴルフ場で試合が行われる場合は、ボランティアに同じ人が応募するケースも多くなるので、仕事の内容に詳しい人が増えていきます。しかし、女子オープンのように毎回会場が異なる場合は、そういうわけにはいきません。4日間通してボランティアをする人もまれで、1日だけとか二日だけという人が大部分です。そのため、毎日試合が始まる前に、あらためて仕事の説明が必要になります。

説明は、当然、業務別に行われますが、例えばマーシャルの場合は、全員に共通すること、ホールごとの注意事項の二つに分けておこなわれます。後者は、ティーグラウンド周辺、中間、グリーン周りなどの担当別に留意事項が説明されます。グリーン周りは選手もキャディーもセンシィティブで苦情がでることも多いので、ゴルフの経験がある人が配置され、昨日はこのあたりからの音がうるさかったとか、この方向への人の動きに苦情が出たなど、前日の情報も伝達されます。

ボランティアとしていろいろな大会に参加した経験者が、我孫子の場合、ボランティアを初めて経験する人(私もその一人でした)が多く、初々しい質問がたくさんあり、手作りの感じがして好ましいという印象を話していました。これは、大会によってはボランティアが固定化、権利化し「そんなことは知ってる」といった態度の人がたくさんいて、一般のボランティアは半人前扱いをされ、活動を楽しめないという経験によるようでした。

 

イベントサポート会社

 女子オープンの最終日のギャラリーの数は、小林浩美さんのコラムによれば、1万6549人だったそうですが、このように多数の人が集まるイベントの場合、やはり専門のノウハウがなければ運営できません。そこで登場するのがスポーツイベントの専門会社です。
ところがどうもこれが、製造業のような細部にやかましい職業の経験者からみると、プロらしくないのです。

 私が経験したのは、こんなことでした。一日中仕事があるわけですが、トイレや昼食のための休憩が必要で、そういう時、ボランティアのユニフォームを着たままだとギャラリーから、サボっている人が多いなどの批判を受けるので、「持ち場を離れる時は脱いでください」という指示でした。12時過ぎ、午後から参加するボランティアの方がみえたので、少し離れた木陰で、指示に従いユニフォームを脱いで休憩しました。

ところが、その間にお昼のお弁当が配られたのです。お弁当を配る人は、ボランティアの一人一人の顔は分かりませんので、ユニフォームを目当てにします。よって私には配られませんでした。
その後、いろいろあって結果的にお弁当は1時過ぎには私に届けられたのですが、「どこに行っていたのだ」と、いかにも持ち場を離れてどこかでギャラリー化して試合を見ていたように(そういうボランティアも、ままいるそうなのですが)非難されました。お弁当を配るころに休憩する方が悪いのですが、交代で休む以上そういうこともおこります。これまでも、こういうことは起こったであろうとも想像できます。従って、マニュアルにお昼に関する指示が、一項おりこまれていなければならないはず。

これ以外にも、我がもの顔に振舞う報道関係者への対応など、運営に関し気が付くことがたくさんありましたが、大会終了後、運営に関するボランティアの意見を聞く機会は設けられていませんでした。 

 

サービス産業の能力向上

 サービス関連の事業というと、金融業や弁護士、官公庁などが思い浮かべられますが、それだけでなく、国際会議や見本市をサポートするイベント会社もその範疇に属します。イベントの種類は、スポーツ、音楽、博覧会などいろいろでしょうが、大勢の人を上手にさばいて、楽しませるという意味では、同様な仕事といえます。

なかでもスポーツ関連は、今後の成長産業の一つであろうと考えられますが、野球、サッカー、ゴルフ、バスケットなどなど、競争相手はいろいろあります。それゆえ、生き残るためにはマネジメント能力が問われることになります。この分野にも製造業が持つような、「ルーティンを磨くことで競争に勝つ」といった姿勢が必要だと考えさせられた三日間でした。

おわり 

 
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