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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(19)

 
ダイバーシティ活動の問題点4 先行派の行動様式が必要

「成長する」は契約の条件

 課長候補生のための研修に推薦しようとすると、私がですかと驚いたり、とてもその任ではないと尻込みしたりするケースが、女性の場合ときにみうけられる。責任が増えることで他の活動に影響がでることがいやという場合もあるが、もう一つの理由は、仕事が人を育てるという日本の会社の仕掛けがよく分かっていないためだと思われる。

「日頃子供の病気その他で早めに帰ったりして周囲に迷惑をかけているので、このうえ研修に参加させてくださいとは言いにくい」というような遠慮は、正しくない。仕事の能力を毎年向上させることは労働契約の条件の一つであり、そのことを応援するために研修が計画されるのが普通だからだ。「よほどの経済状況の変動がない限り雇用は保証します。そのかわり毎年仕事の能力を向上してください」というのが日本の雇用契約の考え方の基本にある。

 

教育・訓練は泳ぐ前の準備体操

  経験とともに知識は増えていく。しかしそれだけでは能力にはならない。知識は、実際の場面で使ってみて初めて能力に転化する。泳ぎの仕方をいくら畳の上で教えても泳げるようにはならない。泳ぐことを体験しなければならない。だが、いきなり海に飛び込むのは無謀のそしりを免れない。準備体操が必要である。

管理職候補生向けの研修その他はこの準備体操に相当する。日本の場合「課長になる能力がついてから課長になるのではなく、課長になってから課長の能力をつける」のではあるが、あんまりへぼだと部下も上司も迷惑する。本人がびっくりして心臓麻痺になってもこまる。よって準備体操が必要なのだ。これを避けるということは課長になる機会を逃すということだ。それでは、経験とともに成長するという契約条件を満たすことはできない。

 

「初めにジーンズをファッションとしてはく勇気」が必要

  女性総合職の1〜3期生に経験を聴くと、「どうせすぐやめるということで難しい仕事は与えられなかった。そのため、能力向上の機会を求め、この仕事やらせてくださいと仕事をとりに行ったものだ」という話が必ずでる。女性総合職が珍しくなくなった現在は、取に行かなくても難しい仕事や期限が長いプロジェクトもまわってくる。従ってプロとして初級レベル(自分をマネージし、チームの一員として活躍できる)に育つための仕事は用意されているといってよい。しかしもう一段上のレベル(自分と他人をマネージして結果を出す)に進むためにはポストを取りにいかなければならない。

  前回のコーヒーブレーク(18)で述べたように女性マネジャーの数からみて、現状は先行派の時代で、アーリーマジョリティの時代にはなっていない。ということは、女性がポストにつくことは普通なこと(トレンド)にはなっていないので、勇気をだして取りにいかなければならないということだ。皆が労働服と考えているジーンズをファッションとして履くのに勇気が必要だったように。

 

「がんばってみるか」と思えた時、既にチャンスを掴んでいる

  課長候補生向け、新任課長向けの研修を計画する方は、女性が参加しやすいように日程や時間配分に配慮すべきである。「本当は参加したいのだが、泊りがけの研修では、、、」と二の足をふむケースもたくさんあるから。しかしこの際、女性の方は、先行派の時代にはそんなことは期待できないと割り切って、チャンスを取りに行くべきである。準備運動の機会を逃してはいけない。夫や両親、友人、子供などなどあらゆる関係者の手助けを得て参加する方策を考えることをお勧めする。
  大リーグ、コロラド・ロッキーズのオーナーの一人であるリンダ・アルバラドさんは、成功した女性の一人だが、適性は心がけ次第で創れるAttitude makes Aptitude と言っているし、「一塁ベースに足をつけたままでは、二塁にはいかれない」ともいって、女性のチャレンジを促している。(アルバラドさんについては、コラム 米国人材マネジメント協会年次大会報告2参照)「課長なんていう仕事、出来るかしら」と心配する必要はない。課長になったので出来るようになるのだから。
 つづく 
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