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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(26)

 
ブレンド型e-learning の開発IV

社会人向けのブレンド型e-learningの開発

  2012年以降、北海道大学の「企業と仕事特論」で使っているブレンド型e-learning を、いつか社会人にも適用してみたいと考えてきた。クラスルームだけの授業より理解度が高まるからだ。一方、「マネージャーのための戦略論入門」などの3DLA独自セミナーも合計で6回を数え、この面でも学習に関するノウハウが貯まってきていた。

事前課題とインターバル学習という仕組みは、「答えを教えてもらうではなく、答えの見つけ方を習う」というセミナーの狙いによくフィットするのだ。それゆえ、この二つを組み合わせれば、より学習効率の高い研修ができるのではないかと考えた。問題は、どのようなe-learning を創るか、である。

 

何を予習させると理解度は高まるのか

  ブレンド型e-learning は、もともと一つのクラス授業であったものをe-learning とクラスの授業に分割、前者で授業の基礎となる部分の解説をある程度済ませてしまい、クラスは意見の発表や疑問に感じた点の解明を中心に進めることを目標としている。最近話題になっている反転授業という教え方の一形態でもあり、e-learning はクラスの予習に相当する。しかし、何を予習させればよいかは、簡単には決められない。「受講者にとって分かりにくいことは何か」が教える側に分かって、初めて予習させた方が良いことが分かるからである。北大の場合は、学生はビジネス経験が少ないので、分からないことは「実際のビジネスは、どのように行われているのか」であった。

3DLAのセミナー参加のマネージャーの場合は、グローバルな競争の実態である。それぞれ部分的にグローバル化の影響を受けていても全体としては、グローバル化と日々の仕事の関係はぼんやりとしたものに過ぎず、今後どのような影響がビジネスや自分の人生にあるかは、あまり把握できていないのが実情である。これは、アドバイザーをしている経団連の選抜課長研修グリーンフォーラムの受講生にもみられる現象である。従って、マネージャーの場合は、予習させるべきことは、日本のビジネスをとりまく環境(外部コンテキスト)だと考えた。

 

日本のビジネスを取り巻く環境

  日本のビジネスの外部コンテキストは、次の4つに整理できる。
1)世界中がビジネスモデルで競争している。この場合ビジネスモデルとは、お客さんとお客さんに提供する価値および競争の仕方についての選択のことである。
2)対象とする顧客層は細分化される傾向にあり、what to make が重要になるだけでなく、お客さんと一緒に製品やサービスを創ることco-creation も普通になりつつある。
3)グローバル化の進展。世界中に競争相手と広い意味での部品のサプライヤーがいるという状況が生まれ、成功の機会も失敗の機会も沢山あるダイナミックな世界が創りだされている。
4)以上の変化は、@新しいキャリア観AリーダーシップB育てながら闘うという考え方、の3つの必要性を人々に強く認識させることになった。

もう一つのe-learning 化のコンセプト

  受講生が分かりにくいことを、分かりやすくするため 授業の一部をe-learning 化し予習させるというコンセプトは、ブレンド型の特徴である。しかし、それだけでは少しつまらない。お金も時間もエネルギーもかなりかかるのだから、e-learning化することにより、獲得できることは、もっと他にないか。

  実はある。3DLAの独自セミナーは、戦略論、リーダーシップ、キャリア開発の3つの分野を対象としていて、どれも外部コンテキストとの関係が深い。戦略は外部コンテキストと内部コンテキストを比較衡量の上策定するものだし、求められるリーダーシップは外部コンテキストの変化により、たとえば指揮命令型から先頭にたたないタイプに変化する。キャリアについての考え方も、外部コンテキストの変化により、変わらざるをえなくなった。そうであれば、このe-learning を三つのセミナーどれにでも使えるものにできないだろうか。

  これがもう一つのe-learning 化のコンセプトになった。この点について次回説明しよう。

つづく
 

本テーマの以前のコラム(I〜III)は、下記タイトルをクリックしてご覧ください。(別ウィンドウで表示されます)
・コーヒーブレーク(7)ブレンド型 e-learning の開発I


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