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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(27)

 
ブレンド型e-learning の開発V

プラットフォームとデバイスという区分

  ブレンド型e-learning とインターバル学習の組み合わせを、 5月13日から始まる「第3回マネージャーのためのリーダーシップ入門」に適用することにした。そのために作成するe-learning はクラスの予習の役割を果たすが、戦略論とキャリア開発の二つのセミナーの予習にも役立つものにしたい。工夫が必要である。

  このとき役に立ったのは、複雑性の制御に使われる考え方である。「複雑性の制御」とは、グローバル時代の競争に不可欠な考え方で、商品開発の例で言えば、高級品、中級品、廉価版といった製品だけでなく、米国向け、欧州向け、アジア向け等の地域別の製品をも開発、世界同時発売するといった多様な要求に応えるための方策のことである。対応策は色々あるが、その一つがプラットフォームとよばれる共通な部分とデバイスとよぶ機能部分を作り、その組み合わせによって、高級品にも廉価版にも、米国向けにも欧州向けにもするという方法である。

これを当てはめると、戦略論、リーダーシップ、キャリア開発のどれにも関係が深い日本ビジネスの外部コンテキストが、プラットフォームに相当すると考えられる。では、機能デバイスに相当するものは何か。

 

機能デバイス

  e-learning を構成する要素を分析すると、基本コンテンツの他に必ず必要なものは
@学習目標
A学習の進め方についてのインストラクション
B進捗管理の仕方
C理解度の確認手段
D用語、資料集など、 である。
これらは、学習するテーマによって異なるので、それぞれ個別に作らなければならない。よってこれらが機能デバイスに相当すると考えられる。

  3DLAの場合、e-learning を完走できるようサポートするための手段として、クイズを進捗管理にも活用しているので、BCは一つにできる。基本コンテンツというプラットフォームにこれらの機能デバイスを組み合わせれば、戦略論、リーダーシップ、キャリア開発の3つの予習機能を果たすe-learning をつくることが可能になる。

  あとは、どうやってブレンド型e-learning とインターバル学習それぞれの良い点を融合させるかであるが、答えは次の通りとした。

 

事前課題、e-learning, クラスでの授業、宿題、クラスでの授業、再び宿題

  学習のプロセスは次の通りである。セミナーのテーマに関係する課題図書を読んで感想文を提出することを事前課題とする。事前課題に合格すると、e-learning のパスワードが伝達される。パスワードの有効期間は2週間で、この間にe-learning を終了しないとパスワードは無効になり、クラスに参加できない。また、途中にクイズがあり、このクイズに全問正解しないと次に進めない。不正解の場合は、もう一度トライできるが再び全問正解でないと、パスワードは使えなくなり再発行を事務局に求めることになる。追試に合格すれば、次に進めるが失敗すればそれでe-learning は終了となり、クラスには参加できない。

  クラスでは、e-learning の復習の後、対話型の授業がおこなわれる。授業では、受講生に対しいろいろな質問がだされるが、e-learning の内容の理解が表面的だと上手く応えられない質問が多い。このQ&Aを通して、学習の仕方を学ばせるのが狙いである。

  クラスの最後に、授業の内容に関連する宿題が毎回出される。宿題は、授業の内容を手掛かりとして、自分で切り口をきめ、深く広く考えることが要求されるタイプがほとんどで、資料を集めるだけでは上手く答えられない。1週間、呻吟しなければならない。

宿題の解題は次の会合(全部で5回)の冒頭におこなわれ、提出された宿題は全員で交換する。他の人の答えを読むことにより、自分との優劣がわかり、自分のクラス内での位置が実感できる。

e-learning の役割

  ブレンド型では、「e-learning は予習の役割を果たす」としたが、予習することは外部コンテキストに関する知識だけではない。「学習の仕方」についても予習するのである。それにはクイズが大きな役割を分担している。そのことについて次回説明しよう。

つづく

 

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