戦略の立案には、内外コンテキストとの整合性がまず問われる。そこで第2章ではまず外部コンテキストについて、次いで第3章で内部コンテキストについて検討した。
グローバル競争時代の特徴はいろいろあるが、中でもこの10年間の変化で目立つのは、複雑性の増大と、それに対する対応策の変化である。製品開発では、プラットフォームと呼ばれる共通部分と、製品の特長を担う機能デバイスとに区分して開発、その組み合わせによって多様な製品を作る方法とか、売れる製品が分かってから急いで作るというジャンケンの後出しのような即応性を高めて対応する方式、自分の方法がグローバル・スタンダードだとして押し通してしまう帝国主義的なやり方などいろいろな対応策が登場した。
考え方の面では、二兎を追うのが正しいとする傾向が強くなった。二兎とは、時に相反するような価値観、例えば個人生活と会社生活、ローカルな価値観とグローバルな価値観などで、それらを同時に追求するのが正しいとするものだ。競争相手の拡大と個人への力のシフトもまた顕著なトレンドで、そのため成功の機会も失敗の機会も多い、ある意味エキサイティングな時代が出現しているという環境に我々は居るというのが結論である。