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コーヒーブレーク(46)

 
「働き方改革」とチームビルディングI 長時間残業縮減は本当の働き方改革ではない

組織全体の生産性向上が目標

  現在、働き方改革が関心を集めている。しかし、その内容を見ると、多くは長時間残業の縮減策が中心で、本当の意味で生産性の向上には繋がっていない。理由は、製造現場の効率向上については経験があるが、組織全体の効率向上となると具体的なイメージを持ちにくいためだ。イメージできないことはマネージできないので、対策は進まない。

  組織全体の効率向上に必要なことは、組織をチームに組み直し、一試合ごとに強くなる体質に変えなければならない。職能を超えて作られるプロジェクトチームなら上記はそれほど難しくない。問題解決のために一時的に作られる組織だからだ。しかし常設の組織の場合は組織そのものが持つ特性のお蔭で、チーム化することは簡単ではない。決められた機能を正しく実行することが目標の第一であり、問題解決が目標ではないからだ。変えるためには、本来与えられた機能の再定義といった作業が必要になる。

  これまでの日本は「密度薄く、仲良く、長く働く」ことによりアウトプットをだしてきた。それを、他の部分はそのままにして、「長く働く」ことだけを止めてしまったら、アウトプットが低下するだけである。「密度薄く、仲良く」の部分を改訂する必要がある。

 

組織の生産性向上には、チームワークが必要

  密度濃く働くための対策は、個人の場合、いろいろある。一番良いのは労働の価格も自分で決めるセルフエンプロイドになることで、働き方も自己裁量、経営者兼従業員、結果 に責任を負う。組織内にあってもそういう働き方が可能というのが、拙著「組織内一人親方のすすめ」の主張であった。問題は、個人個人が頑張れば組織全体の生産性が上がるかというと、そうとは限らない点である。部や課あるいは職能といった区分のお蔭で、壁が出来るからである。製造部門が頑張っても他の部門が足を引っ張れば、会社全体の生産性はあがらない。それ故、会社の組織全体が有効に機能するチームワークが必要である。

  一般に日本人はチームで働くことが得意で、チームワークが良いとされているが、実際はそうでなく、チームワークは大変悪い。よく知った少人数の仲間だと機能するが、知らない人が加わると機能しなくなる。人数がふえると派閥ができて効率を妨げる。

 

チームワークとは仲良くすることという誤解

  チームワークとは本来、結果を出すことに協力することで、仲よくすることではない。ところが日本の場合、チームワークというと仲よくすることという誤解がはびこり、この誤解が同調圧力(みんなと同じようにすることがよいことだと考える傾向)を生み変革を妨げている。そのため違った意見を言うことが控えられ、有効な議論が成立しない。反対意見が少しあるだけで、提案は退けられ問題は先送りされてしまう。働き方改革のためには、「仲よく」の意味を、考え直されなければならない。

 

個人の働き方改革

  組織改革には組織の生産性を上げる作業の他に、もう一つ目標があるべきである。個人が気持ちよく働ける、というのは言われるところだが、それだけでは不十分だ。現状の働き方では、長寿命化に対応できない。コーヒーブレークvol.38(長寿命化とキャリア戦略1 寿命化により起こる問題)で説明したように、75歳まで働く時代に向けて、二つ以上のキャリアを創るために自分に対してリーダーシップを発揮する能力を高めたり、新しいことを学ぶ能力を高めたりしなければならない。キャリアという問題に戦略的に取り組む必要があるのだ。(昨年書いた「キャリア戦略」はこの問題に取り組んだもの)

  働き方改革には組織と個人の二つがある。このことを前提に、このコラムでは、組織の生産性向上に必要なチームの創り方に的を絞って検討しよう。まず始めに、組織とチームの創り方の違いが、チームビルディングにあたえる影響について考えてみたい。

 

つづく

 
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