ホーム  
3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(47)

 
「働き方改革」とチームビルディングII 組織とチームの違い

  「組織とチームはどう違うのか?」という質問を良く受ける。一つの職場をチームと考えて、「チームワークを良くしなければ」という声があるからだと思う。そこで、働き方改革とチームビルディングの関係を考える前に、そもそもチームとは何かという基本的な問題を整理しておこう。常設組織とチームとでは同じ部分と異なる部分の両方がある。同じなのは、どちらも組織であること、違いは「創る理由」である。

 

組織を創る理由は、あった方が便利だから

  組織は、「仕事を分けることにより効率が向上すると」いう分業の原理を応用したものである。仕事を分けると効率が下がる場合は、分けないという判断になる。要は「分けた方が、定常的な業務を行う場合便利であれば、創る」というのが原則である。管理係という組織だけでは、増大する仕事に上手く対応できず不便なので会計係と庶務係に分ける、というのがその典型と言えよう。

  分業には、設計、製造、検査といった仕事の機能ごとに区分した横の分業と、部長、課長、主任といった責任と権限の区分による縦の分業がある。縦の分業も責任権限を分けた方が便利かどうかで決まる。管理課の役職は課長一人に会計係主任と庶務係主任がいれば十分、というのがそれで、仕事量が増えれば、管理課を会計課と庶務課に分割するとか、管理課を管理部に格上げし部長を置き、会計課長と庶務係及び人事係に主任を置くとかの変更がおこなわれる。要は、組織は、分けた方が便利かどうかで創るかどうかが決まる。

 

チームを創る理由は、問題解決

  一方チームは、何等か改善すべき課題があって、それを解決するのは一人では難しいので仲間を集めて取り組む方が良い、という場合に創られる。集める人は、問題の性質、解決の難しさの程度などにより決められる。専任の場合と兼任の場合があるが、これは期待する役割によって異なる。専任の人もチームの活動が終了すれば、元の職場に復帰するので、原則的には「臨時に設立された組織」である。

  チームは、チームを創ったほうが、課題解決に「便利だから創られる」ので、その意味では組織が創られる理由と同じだが、課題の解決が目的で、通常の仕事を効率よくこなすのが目的である常設組織とは異なる。

 

組織は、使わなければ作った意味が無い

  常設の組織も、チームも「組織」である。組織の最大の課題は、「利用されるかどうか」である。創った方が便利だから創ったのに、利用されなければ、便利さは生かされない。例えば、会計課と庶務課を分けたのに給与に関する仕事をどちらがやるか決まっていなければ、利用できない。各人別給与額の決定は庶務課の人事担当が行うとし、各人の銀行口座への振込は会計課の担当が行う等、業務の振り分けが利用してもらうために必要となる。

  一方、チームの場合、活動の結果が、課題解決に実際に使われなければ、チームを創って検討した意味が無い。だが、使われないケースもしばしばある。解決案が複雑で、手数がかかるとか、特定の部署のみに負担がかかるとかの理由で、現場で棚上げされてしまうような場合だ。

 

コーディネーションとインセンティブ

  組織が、上手に使われるかどうかを決める条件は二つある。高速道路の事例で考えてみよう。高速道路は、目的地に早く着けるという便利さを求めて作られたのに、利用されなければ作った意味が無い。例えば、既存の道路と高速道路を接続する道路が整備されていなければ、利用しにくい。このような問題をcoordination (協働、協調)問題と呼ぶ。
また、時間短縮効果に比べ利用料金が高すぎれば、利用しにくい。使うためのincentive (刺激、誘因)が弱いのである。それ故、この二つの条件を配慮して、組織は作らなければ上手く機能しない。

  チームを作る以上、取り組む課題は、皆が改善したいと思っている事柄であること(インセンティブ)が必要であり、解決策は、実行のために必要な施策(制度改定や予算措置)が伴っている(コーディネーション)こと、チームに参加した人の能力が活動を通して向上する可能性が高い(インセンティブ)ことなどなどの条件が伴わなければ、チーム活動は上手くいかない。

  コーディネーション問題とインセンティブ問題は、組織を有効的に活用する際、常に考えなければいけない問題である。

 

つづく

 
前のコラムへ バックナンバー一覧 次のコラムへ
 

【関連研修のご案内】
3DLAでは、チームビルディング講座「働き方改革を実行できるチームの創り方」の独自セミナーやプログラムを提供しております。詳しくは以下をご覧ください。

<個人・少人数向けの募集>
募集中のセミナーについては、セミナー案内「3DLA独自セミナー」をご覧ください。
過去の募集要領は、セミナー案内「過去の3DLA独自セミナー 」 をご覧ください。

<企業・部署単位での開催>
企業・部署単位でセミナーを開催する場合のコース内容例については、チームビルディング講座「働き方改革を実行できるチームの創り方」をご覧ください。ご要望に合わせてコース内容をアレンジすることも可能です。


※この関島康雄のコラムについてのご意見・ご感想がございましたら、メールにてお寄せください。
   メールアドレスは連絡先のページを参照願います。

Copyright since 2006  3DLearningAssociates All Rights Reserved.