経営幹部教育の新しい動きは、学習に関する三つの局面を考慮に入れた、全体的なプログラム・デザインである。単なる知識の付与ではなく一つの体験を提供しそれにより行動様式の変化を促そうと考える。受講前の心の姿勢を整えることから職場に戻った後のフォローアップまでを一体として設計する。誰にこの教育プログラムを受講させるか、受講者を誰がどう動機付けといった事前の配慮から受講後おこなわれる配置の変更まで一貫した考え方に基づくデザインである。いわゆるローテーションも、習ったことを実際の局面に適用する機会の提供と位置づけられ、さらには、本人のこれまでの評価が妥当かどうか、本当の実力を試す場とされる。 |
日本の場合は、正義の味方派的考え方の影響はもっと大きい。80年代、日本企業の強い国際競争力のお陰で、日本的経営が注目を集め、長期的視点から雇用を重要視する日本型HRMがもてはやされた。そのため日本では、どういう企業であれ日本型HRMが正しいという姿勢が強くなり、結果的に、戦略論などに対するHRM関係者の関心は高まらなかった。
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世界の経営幹部教育は、教育と人事配置、評価との連動が大切という世界から、さらに加えて、三つの局面を意識したトータルなプログラム設計が必要という方向に動いている。人材開発競争の時代は、人材開発部門だけでなく、人的資源管理に携わるチーム全体の力量が問われるのである。
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