製造工程のモジュール化や輸送手段の低減のお陰で、海外の安い労働力を利用することが盛んになった。では、人件費の高いところは、人件費の安いところに勝てないのであろうか。
人件費の高いロスアンゼルスでTシャツを作るアメリカン・アパレル社の事例を見てみよう。同社は、一般的には10ドル未満の価格が普通であるTシャツを15ドルで売っている。特徴は、卸売り業者向けに受注商品の75%を24時間以内に発送できるところにある。裁断と縫製は自社、染色や漂白は近隣の業者4社という垂直統合の利点を活かし、安さではなく、速度を売っているのだ。
この他にも、「呼吸する靴」で有名なジェオックスGeoxは、イタリアの靴造りの伝統技術とワールドワイドな生産ネットワークを組み合わせることにより成長を続けている。中国、ベトナムなど低コスト製造業者に支配されている靴産業でも、やり方によっては、高い収益を上げることは可能なのだ。