研修終了後、職場にもどってから何をするかを計画した100日プランを実行後、さらに次の100日間に挑戦した結果を発表するというユニークな会合が12月11日経団連会館で開催されました。参加者は、残念ながら中央高速のトンネル事故のため緊急動員され書類だけの参加となってしまった人を含め9名。それぞれ転勤したり、昇進したり、結婚したりといった環境変化を経験しながら目標にむけ努力した結果について報告、コメントをうけました。
感想を一言でいうと、「マネジャーらしくなってきた」です。仲間に対する質問やアドバイスが的をついていたし、ビジネスについての考え方にも成熟がみられました。確実に、「自分と他人のマネージ」から次のステージ「自分と他人プラスビジネスのマネージ」という方向へ歩き始めているようで、「100日プランとその振返りという仕掛け」は、自分で育つ手段として有効と感じました。
発表者の努力に報いる意味で、ビジネスをマネージするようになると一層必要になってくる戦略的な思考について考察した軍事と戦略という小論(前週うなりながら書きました)を差し上げましたが、アドバイザーとしてとてもうれしい出来事でした。
段取りいただいた事務局の方々に感謝すること大です。
(情報掲載日:2012年12月21日(金))
■「HRマネジャーのための戦略論入門」延長戦を実施
10月13日、関島のセカンドハウスにてパーティー形式で延長戦がおこなわれました。参加者は受講生の約半分の7名。シャンパンで乾杯後、戦略策定実習についてのコメントをし、あとは自由討議。
戦略策定上の弱点は各人いろいろですが、一番多かったのは「誰と闘って、何を獲得するか」が明確でないこと。そのため何を差別化するかが曖昧になりがちなこと。敵を知り己を知れば百戦危うからず、が孫子の説くところですが、競争相手のベンチマークができていないところが問題です。
特にキャリアの場合グローバルなレベルで一流と目される人が持つスキルに十分思いを巡らす必要があります。それができないと、どのくらい頑張ればよいかも分かりにくい。他流試合と武者修行が必要な理由です。
(情報掲載日:2012年10月25日(木))
グリーンフォーラム6期生から200日プランの発表会をするので出てきてほしいという連絡が事務局を通してありました。
毎年、グリーンフォーラムでは10か月間の研修修了後、「習ったことを使って何をするか」という公私にわたるリエントリープログラム(100日プランと呼んでいます)を各人が作成し、実際に実行できたかどうかを報告する会を、100日後に開催しています。6期生の場合7月11日に報告会をおこないました。その席上での「次の100日は」という小生の問いかけを、「挑戦」と受け止め、さらに100日がんばったので12月11日発表会をするという連絡です。
これまで、100日プランは「作ったが実行はおろそか」という期が多かったのに、更に100日がんばって200日というのは驚きです。これは万難を排し出席せざるをえません。Rewardも何かも考えなければ。より長期の計画を立てるのに必要な戦略論の話でもしようかなと思案しているところです。
(情報掲載日:2012年10月18日(木))
7月27日から始まった大人のための夏季講習も5回の会合が終了し、いよいよ10月13日の延長戦(希望者のみ)を残すだけになりました。
事前課題の読書感想文につづき、町の本屋のビジネスモデルを考える宿題、自分の事業部門のHRMシステムはどのようであるべきかを整理する宿題など、毎回の宿題に苦労しながら最後の戦略策定実習までたどり着いたのですが、普段あまり考えたことがないテーマに取り組む過程で、専門知識の不足やビジネスとの距離の遠さを実感できたようでした。
戦略策定実習は、私もよく使っているスターモデルというコロンビア大 Donald C Hambrick 教授のツールを紹介しました。どんな戦略が出来てくるか楽しみです。ただし今回の講座は入門編なので、「戦略とは何か」は教えましたが「良い戦略とはなにか」は教えていません。従って、策定された戦略が、準備と投資を要求する Call for preparation and investment というハンブリック先生のポイントが十分反映されていれば、それで良いと考えています。
(情報掲載日:2012年9月24日(月))
■大人のための夏季講習「HRマネジャーのための戦略論入門」始まる
7月27日から始まった上記講座は、現在、3会合目まで進んだところです。受講生は全部で13名。事前課題によるスクリーニングのお蔭で、HR関係者だけでなく、法務、営業、経営企画など、多彩なバックグラウンドを持つ人が集まりました。
講座は課題図書に関する質問から始まり、競争の仕方の変化や戦略の必要な理由などを考える第一会合、軍事と経営の両面から見てみて戦略とは何かを考える第二会合と進んで、8月25日には経営戦略と人材マネジメントの関係を考える半日コースを迎えました。
毎回宿題もあるタフなプログラムですが、「少し楽しく、少し厳しく、少し贅沢に学ぶ」というキャッチ・フレーズのもと、皆さん朝7時という早い時間からにもかかわらず遅刻もせずに課題に取り組んでいます。そのうち懇親会も開催予定とか。
(情報掲載日:2012年8月29日(水))
■北大の留学生支援プロジェクト「フロンティアプログラム」で集中講義
7月12,13日、北大の工学系(院)で、「国際調達とサプライチェーン・マネジメント」の集中講義をおこないました。生徒は中国からの留学生2名を含む11名の修士と博士課程の学生。
内容は、サプライチェーンが必要な理由、ビジネスモデルとサプライチェーン、サプライチェーンと契約、といったもので、現代の競争で「なぜSCMが重要な地位を占めるのか」を理解してもらうことに重点がありました。とはいえ、実務経験が乏しい学生には販売・生産・物流という流れや、在庫・生産・部材の購買といったサイクルの管理をイメージすることは簡単でないようで、教える方も苦労しました。
本講義はグローバルマネジメント特論の一部で、後期におこなわれる企業と仕事特論を受講済みの学生が受講するという設計になっているのですが、留学生は9月入学、日本人学生は4月入学という制度のため、日本人学生は本講義を先に受けてしまうという現象がおこります。9月入学が話題になる理由の一つを垣間見た次第です。
(情報掲載日:2012年8月24日(金))
■「計画は実行されたのか」、100日プラン報告会を実施
7月11日、グリーンフォーラム6期生のリエントリープログラム実行状況を報告する会合が経団連会館でおこなわれ、それぞれの報告にコメントしました。例年以上に内容が充実していて驚きましたが、理由の一つに授業とは別にあるグループが独自でおこなった、相互に助言しあう会合にあったと思われます。
通常、この報告会には実行度合が十分でなかった人は、話す内容が乏しいため出席しません。しかし今回は、上記会合を持ったグループは、努力の結果を披露したいと全員が参加したのです。
報告内容もユニークなものが多く、減量10Kgに挑戦した人は「見た目で判断しないで」といいつつ報告し笑いをさそいました(さらに20Kgは減量が必要とみられる体型でしたので)。小生のアドバイスどおり100日プランの実行第一日目に奥さんに計画表を手渡した結果どうなったか等も面白く、改めて計画と実行、自分に対して発揮するリーダーシップといった問題をそれぞれが再考する良い機会になりました。
さらに100日後に、200日報告会を実施する、と決めて解散。本当にそうなるかどうか、楽しみです。
(情報掲載日:2012年8月7日(火))
■7月6日 グリーンフォーラム7期生にリーダーシップについて講演
7期生は全部で26名、ほぼ例年どおりの受講生数でしたが、美術工芸品を製作する企業やコンサルタント企業など、異色の分野からの参加者が加わり活気のある授業となりました。
カリキュラム面では、先頭に立たない場合のリーダーシップの在り方としてチームビルディングを論じるところまで行きたかったのですが、「なぜリーダーシップが、これほど重要視されるようになったか」を理解するのに必要な「外的コンテックスの変化」の把握に時間がかかり、目標は達成できませんでした。
外部環境の変化に気が回らないという現象は、最近の課長クラスにみられる共通の弱点で、これでは失われた20年がさらに伸びてしまいそうで、大いに心配です。
(情報掲載日:2012年8月1日(水))
日立の経営研修所の社長時代、社外で講演すると「人材開発の仕組みはよく分かったが、どうして日立はもうからないのか」という質問をよく受けました。暗に「教育の効果が上がっていないのでは」、「仕組みも、言うほど立派ではないのでは」と言いたいのです。
しかし、この質問は、問題と答えという関係で間違っています。「業績が上がらないがどうするか」という問題の答えは「教育する」ではなくその前に、コストを下げる、お客のニーズにあった製品を開発する、営業部門を強化するなどなどの答えがあって、その答えを実現するための対策の一つに教育があるのです。さりながら、「教育の効果はきちんと把握すべき」という意見を、無視することはできません。
本書は、5年前に出版された「はじめての教育効果測定」の続編といってよく、実際に効果測定がおこなわれた結果はどうであったかを5つの事例で紹介するもので、今後教育効果の測定に取り組む場合、大いに参考になる本です。教育担当者の苦労物語として読んでも十分に面白く、一読に値すると思いお知らせする次第。
「教育効果測定の実践 企業の実例をひも解く」 堤宇一 編著
日科技連出版社 定価(本体価格2800円+税)
(情報掲載日:2012年6月19日(火))
■6月15日(金)から22日(金)まで海外出張で関島不在
ワートンスクールの16th Annual Wharton Leadership Conference と Center for HR のリサーチ・アドバイザリー・グループ(RAG)の会合に出席のため、上記の期間不在です。
※出張期間中にお送りいただいたお問い合わせやセミナー申込みについては帰国後に対応いたします。
なお、リーダーシップ コンフェレンス及びRAGについてはコラム「 コーヒーブレーク(2)」に詳しい説明がありますので、そちらをご覧ください。
(情報掲載日:2012年5月31日(木))
3月16日、経団連主催の選抜研修グリーンフォーラム第六期の修了式が経団連会館でおこなわれ、アドバイザーとして餞の言葉を述べました。5期生の修了式は3月11日で、まさに開会しようとする時に地震となり延期を余儀なくされましたが、今年は無事終了。
10ヶ月間お付き合いするとやはりそれぞれの特徴が見えてきて、先生というよりは末っ子の面倒をみる兄貴と言った気分になってきます。それぞれが困難を乗り越えて、自分らしい人生を送ることができるようがんばって欲しいと心から思う次第。フレーフレー6期。
(情報掲載日:2012年4月10日(火))
■情報サービス事業のグローバル展開と求められる人材について講演
3月8日に日立システムズで、How HISYS competes と題し、情報サービス会社が事業をグローバル化する際直面することが予想される課題と必要な人材について、基盤事業グループの幹部を対象に講演しました。
事業のグローバル展開が遅れている企業が直面する最大の問題は、どのような課題が待ち受けているかを的確にイメージすることが出来ず、商品、販売ルート、人材などについて種々な問題点を思い浮かべ、とても出来そうもないと思ってしまうことです。さらに、 情報事業の場合の問題は、ハードとソフトは違うので製造業の経験は当てはまらないと考え、日本の過去の経験から学ぼうとしないことです。
事前課題として小生のホームページコラム「21世紀型人材マネジメント」のうち「グローバルな競争と人材開発」の部分を読んでもらい1、自社のグローバル化の問題点、2、その理由、3、問題解決のために何をするか、をレポートしてもらいました。
予想にたがわず、大部分のひとの反応は、ステレオタイプでグローバル化は他人事(グローバル展開ができないと事業は衰えるとは感じているが、正面から問題解決に取り組んでいない、の意)という状況でした。コラムを読んでも自分の状況に照らし理解することができないのです。これでは、トップが笛吹けど踊らず、になってしまいます。
そこで、競争の仕方やグローバル化の影響など外部環境の変化について整理したうえで、海外事業はどのように展開されたのかを、日本の経験、日立製作所の経験を振り返ったうえで、海外事業の発展段階とそれぞれのフェーズで必要な人材について議論しました。そのうえで求められる人材の育て方について考え、いきなりフェーズ3とか4という状態が求められるわけではこと、次のフェーズを頭に入れつつ一段ずつ登ればよいことを説明しました。
グローバル化も「イメージできないことはマネージできない」原則が当てはまるので、発展段階モデルを使って次に起こりそうなことは何かを具体的に思い浮かべ地面に足の着いた対応策を考えるべきなのです。
(情報掲載日:2012年4月3日(火))
■You need a strategy to develop executive programs
2月29日、国際協力機構JICAで幹部教育プログラムの創り方について講演
これはJICA「現場における能力開発」という途上国を対象とする17日間の研修の一部としておこなわれたもので、研修には、座学のほか企業訪問やアクションプランの発表なども含まれています。
わたしの授業は、「教育が問題解決策になっているかどうかを、外部環境や組織の目標に照らして考えるべし。イエスであれば、教育を実行。その際、「大人の学習」の弱点を配慮しなければならない」という内容でした。問題があると、すぐにコミュニケーションの改善、教育プログラムの導入という安易な答えになりがちですが、教育では本当の解決できないケースもたくさんあるからです。
これまで何回かJICAの仕事をしてきましたが、今回特に印象深かったのは、参加者の出身国の変化です。コロンビア、ヨルダン、ケニア、ザンビアなどアジア以外の国からの受講生が16人中8人を占めたことです。東南アジアの国々は途上国というレベルを抜け出しつつあることを実感した次第です。
(情報掲載日:2012年3月21日(水))
2月10日、グリーンフォーラム6期の最後の課題、「私の行動計画(100日プラン)作成」を指導しました。これは約1年にわたる研修を修了し会社に戻った後、何をするかを考えさせるプログラムで、re-entry program とよばれるものに相当します。
このプログラムが重要なのは、「習ったことは使ってみなければ、身に付かない」からです。1期生から指導していますので今回で6回目になりますが、毎回明らかになるのは、各人の学習の度合で、単なるお勉強レベルにとどまった人と、学習(行動様式に変化がみられる)した人の差が、各人が授業に先立ち作成する原案に如実に表れます。
発表、仲間からのアドバイス、講評、講義というプロセスをへて最終案はあらためて後日作成、提出することになります。最終案は事務局によって冊子にまとめられ派遣元に送られます。100日後には計画が実行できたかどうか振り返る会合も開催されます。
今回感じたのは、課長クラスともなれば、自分の評価者は自分であるという覚悟が必要なのに、いまだ「人に評価してもらいたい」というヒヨコの殻をつけたままの人が多いということです。本当に自分を鍛える計画になっているのかどうか考えて欲しいと強く訴えましたが、さて最終案はどうなりますか、楽しみです。
(情報掲載日:2012年3月12日(月))
■2月16日、グランパが孫に教えるキャリア論と題し講演
日立製作所の卒業生の会である社友会で講演しました。珍しいタイトルなので以下に内容を紹介しようと思います。
「退職後、HRDコンサルタントとして仕事を続けている。お客さんは企業が主だが、大学からの仕事も増えている。大学で授業をしてみて気が付くことは、学生の元気の無さである。期待値を下げる、変化を直視しないという傾向が強い。これらは自信の無さの表れなのだが、実はこの傾向は、最近の企業の部課長クラスの反応と良く似ている。共に自信が不足しているのだ。
これには理由がある。大学生の親や先生にあたる世代が、成功体験を欠いているためだ。過去20年、日本経済は停滞した。そのため80年代から90年代かけて、現場で次から次に起こる問題に取り組んだ世代が経験したような達成感や、仕事が人を育てる経験を、味わう機会が少なかったのだ。よって、元気づけることが上手ではない。コーチとして不適切と言える。
一方で、時代も大きく変化した。成功体験が役にたたない部分もある。グランパの時代は、キャリア観というものが特になくても、社会人人生を全うすることができた。しかし現在は、日立に入ったと思ったのに、NECになってしまった人、富士通になってしまった人などが、続出する時代である。会社に自分の人生を預けっぱなしにすることは危険すぎる。必要なのはキャリアを自分で設計するという考え方である。そのためには、経験から学ばなければならない。
学習には、知的刺激、それが心の動きと結びつくこと、習ったことを実際の場面に適用してみる、という三つの局面が必要である。グランパ世代は、自己の心躍った仕事体験を語る事により、孫世代の心を動かすことができる。心を動かす話は人の成長に不可欠な香辛料なのである。」
定年後、ゴルフや旅行もよいのですが、次世代のためにひと肌もふた肌も脱いでもらいたい、というのが小生の希望です。誠に「現在と同じ生活水準をするチャンスを子供たちにのこすことは、現在の日本が抱える最大の問題」なのですから。
(情報掲載日:2012年3月5日(月))
■1月21日発売予定のFJにインタビュー記事が掲載
“攻める”オトナの教養マガジン「FJ フィナンシャル ジャパン」3月号の第二特集‘ベルセルク’に、チームビルディングについてのインタビュー記事が掲載されます。ちなみに3月号の第一特集は‘「会計学」で開眼せよ’です。
ベルセルクは、馴染みのない人のために紹介すると(小生もこれまで読んだことがなく、インタビューのためにあわてて読みました)ダークファンタジーといわれる分野のコミックで、ヤングアニマルに連載中です。すでに36巻が本になっています。主人公はガッツ。
それにしても、攻めるオトナの教養マガジンというキャッチフレーズには、元気のよい若者のための雑誌という雰囲気に溢れていて好感がもてます。ベテランも若手の勉強ぶりを知る意味で、一度手に取ってみては。
(情報掲載日:2012年1月18日(水))
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