LTPの良いところは、粉飾に耐性がある点である。粉飾により株価をあげる不正と同じように、賞与なども利益や売上高にリンクさせると、粉飾がおきやすい。期末に製品を取引先に出荷し、次の期に返品をドカンと出すなどの手口を複雑にしたものが、その一例。LTPは、対象期間を長くとることによって、そういう操作を意味の薄いものにしてしまう。LTPのイメージがつかめるよう、私が工夫したLTPの例を紹介しよう。
目標:
3年後の売上高と利益
期ごとの予算数値A:
目標を勘案の上毎期策定される。
部門により売上高であったり利益であったり、新規顧客開拓数であったりする。
各人別配分額B:
各人のランクにより決められるが、年収の50%〜100%
算式:
Aを達成すると B×1/6の権利が発生、受け取れるのは3年後
達成できない場合はゼロ、中途で退職した場合は発生した権利分
二期連続達成すると B × 2/6 の権利が発生
三期連続達成すると B × 3/6 × 105%
四期連続 B × 4/6 × 110%
五期連続 B × 5/6 × 115%
六期連続 B × 6/6 × 120%
従って、例えば四期目が予算未達成でその他の期は達成であれば
支給額は B × 3/6 × 105% + B × 2/6 となる。
LTPは、算式を各社の事情に合わせて作ればよい。上記の算式の場合は、予算を達成することに価値をおいたものになっているが、これは再建途上の会社のためで、目標の3年後の売り上げと利益はローリングプラン。