しかし、個々の能力の向上を支援するに止まらず、より本質的な部分でビジネスモデルの実現を支援する仕掛けの構築もHRMが創造できる価値である。そもそも、お客さんは誰でどういう価値を提供するか、どうやって利益を上げるかという質問に答えるものがビジネスモデルだが、そこには幾つもの選択が含まれている。まずは、会社のビジョンと選択されたビジネスモデルの関係である。選んだビジネスモデルは会社を作った理由や目標に照らして皆の納得がえられるものであるかどうかである。この点に曇りなく皆の賛同が得られるようでなければ、ビジネスモデルは、「会社を成功させるための脚本」となりえない。
競争相手に勝つために選択された戦略も同様である。勝つための方策について意見がバラバラであれば実行はおぼつかない。従って、戦略を共有化するためには、なぜこういう顧客層を対象とするのか、提供する価値はなぜ「手ごろな値段と使い勝手」なのか、そういう戦略を採用すると本当に競争に勝てるのかなどなど多くの「疑問に答える場」が必要になる。