キャリア開発の分岐ゾーンを、ビジネスもマネージする方向に上手く曲がるためには、これまでとは別な価値観が必要になってくる。お客さん、競争相手、企業の業績といった要素を判断基準に加えなければならない。営業部門であってもただ注文を取ればよいのではなく、会社全体として伸ばさなければならないと考えている製品は何か、その分野で競争相手に勝つためには、どういうお客さんに売り込んだらよいのか、そのためにどのような活動が必要か等など考えなければならない。考えただけでなく、実行に移すことが肝心で、プロモーションのための費用や新製品の拡販のための人材などの、ビジネスをするのに必要なリソースを獲得しなければならない。
ビジネスをマネージしようとすると、社内の他の部門と競争したり協力したりする必要が高まる。少し難しく言えば、部門の戦略と企業全体の戦略の整合性をとることが求められるのだ。それだけでなく、競争に勝つためには専門職能能力において、同業他社の同様な部署よりも優秀でなければならない。
よって、組織としての実力の向上にも意を用いなければならない。判断する際の時間軸は、従来よりもずっと長いものになる。将来のゴールと現在の目標のあいだのバランスをとらなければならないからだ。特に上司を説得するような場面では、これまでとは異なるリーダーシップが求められる。次回は上司に対してリーダーシップを発揮することについて考えてみよう。