これまで人材開発の個別の問題に触れてきたが、グローバル競争の時代という文脈のなかで考えると、人材開発についての考え方はどのように変化するであろうか。
人材開発にかかわる最も基本的な課題は
1)どのような人材が必要か、必要な理由は何か
2)どのように育成するか
の二つであるので、まずこの課題にグローバル化が与える影響について考えなければならない。1)がはっきりしなければ、2)を考えることはできないので、1)から取り掛かることにしよう。
1)の問題に答えるためには、現代の競争が、「日本企業にとって」どのようなものか考える必要がある。グローバルな競争なので、国籍には関係なく「企業にとって」が本当かもしれないが、「日本企業にとって」とした理由は、真のグローバル市場は存在しないのと同様、真のグローバル企業というモデルはまだ存在せず、出身国の経営方式の影響を受けた、それぞれ独自の個性を持つ多国籍企業があるだけという考え方による。(コラムVOL.4「世界均質化か、それとも多様化か」参照)