フェーズ3の問題点を考える前に、ザッと発展段階の特徴点をおさらいしておこう。
フェーズ1の特徴は「輸出」である。海外の組織は駐在事務所、それが発展して販売子会社、海外勤務をする人は大部分が営業関係者、それと少しの経理関係者。
フェーズ2(前期)の特徴は「輸出代替」。販売子会社が世界中に10社程度、製造子会社は5社未満、国内には国際事業部といった組織が生まれている段階。必要な人材は新会社立ち上げ要員とくに製造現場関係者で、管理部門からの海外勤務も増えてくる。直面する問題は中小企業問題と俗にいわれるもの。
フェーズ2(後期)の特徴は「海外生産の本格化」で、販売子会社の中には複数の国を対象とするものが生まれる。製造会社も本格的な設計部門を持つものが出て、部品の現地調達も盛んになる。一般的には、汎用品は海外、高級品は日本で生産という区分は残る。
おこる問題も、優秀な人材の退職や労働組合問題など中堅企業に一般的な問題に変わってくる。海外生産が本格化したことにより国内の生産に対する影響が大きくなるため、国内で仕事をする人も海外法人の担当者との接点が拡大、海外事業に対する理解が求められるようになる。いわゆる内なる国際化の要求が高まってくる。事業の発展に人材育成が追い付かず、海外要員の不足が問題になる。