業務を通しての発見がビジネスモデルの変更をせまる場合もある。小売業でお客さんを30代から40代の中年層と考えていたが、顧客分析の結果、買ってくれているのは50代から60代の熟年層であり、好みは活発に活動する中年層に近いと分かったとする。考えてみれば、可処分所得が多いのは、停滞の20年のお陰で年収がアップしない中年層ではなく、これまでの蓄えが十分にあり元気な熟年層である。市場も大きいのにこれまであまり着目されなかったと気が付いた。であれば、ビジネスモデルを急いで変更するのが得策である。
品揃えに始まり、お店の雰囲気、接客態度まで変えるだけでなく、競争相手に勝つ為の戦略も考え直さなければならない。自分のこれまでの強み、仕入れに強いという特徴を生かして、この分野の品揃えを増やして闘うという選択もあれば、会社によっては店舗運営のノウハウに優れているという強みを生かし、多くの店舗を落ち着いて高級感のある店構えに短期間で切り替え、接客マニュアルもそれに合わせて変更してしまうという選択もありえる。
要は、変化の激しい時代の課題はビジネスモデルの実現能力なのである。次回はビジネスモデル実現能力に組織の作り方はどのように影響するかを基本に立ち戻って考えてみよう。