優位性活用型の場合の人材マネジメント上の特徴点を以下に整理してみよう。
1.ビジョンにより逸脱行為をふせぐ
優位性活用型の場合、人材マネジメント上にそのことを反映させる必要がある。たとえば、会社のビジョン(どういう会社?という質問に対する答え)では、事業の領域ドメインを出来るだけ具体的に定義するほうがよい。例えば「医療分野に貢献」ではなく「高齢者医療に貢献」である。ビジョンの役割は「遠くの目標」として進むべき方向を指し示すものだが、一方で従業員の行為が、特定の領域から逸脱することを防ぐ役割を持つからだ。
戦略的なスタンスで言えば、特定の事業分野をさらに深く掘り下げることが主眼となるので、多角化は求められない。試みたとしても「リスク対策として一応この分野にも目を配っておこう」といった感じで、力投球ではない。
2.組織の相互依存性は高い
この点については既に前回のコラムvol.63で説明した。
3.自由裁量度の範囲は枠内
組織の活動にたいしどの程度の自由度を認めるかという点では、組織の責任・権限の範囲内であれば自由に決定できるが、それを超えることは原則として禁じられる。外部環境の変化に対応して組織の役割や活動内容を変革しなければならない場合でも、現在の優位性を損なわない範囲で少しづつおこなうことになる。どの方向にかえるか、変更のプロセスはどうするかなどは中央集権的に決められ、個々の組織が自発的に取り組むことは奨励されない。