「不屈のサプライチェーン」というタイトルで特集を組んだ日経ビジネス(‘12 3月5日号)でも一つの企業のSCMの効率がテーマで、「完成品メーカー、部材メーカー、販売会社、輸送会社など一つのSCMにつながった企業それぞれの効率を向上するのが目標であり、別なSCMにつながった企業の効率との優劣が課題」とする考え方は希薄である。
サプライチェーンは、部品や材料をどう確保するかというところから出発したのは間違いない。部品や材料が切れないためには在庫をたくさん持てばよいのだが、それではコストが掛かりすぎる。適正な在庫とはどの程度かという問題だが、答えを出すためには売れ行きとか、製品在庫や製造期間など自社に関する情報以外に、部品会社の情報、例えば注文すれば何日ぐらいで部品を入手できるのかなどが必要になる。
部品会社の方も買い手の販売計画や売れ行きなどの状況が分かれば対応がしやすい。SCMとはそれらの情報をあつめ共有化することにより、全ての関係者の効率を上げようとする手法であり、部材の安定的入手は目標の一部に過ぎない。
当然のことだがトップレベルのSCMを導入すると人材マネジメントはその影響を受ける。特に業績評価の在り方は修正を迫られるが、それについてはSCMについての深い理解が前提となるので、ここでの説明は割愛する。次回は変化に対する反応速度をあげてリスクに対応しようとする考え方について検討しよう。