プラットフォームを仕事の仕方についての好き嫌い、すなわち企業文化とした場合、最も部品として重要なのは、「人材の特定(例えば誰を採用するか、誰を昇進させるか等)」である。この相性が悪いと戦略実行手段としての組織が上手く動かない。それ故、HRM戦略の上位目標(誰と闘って、何を獲得するか)の一つは、例えば、「グローバルな競争相手と闘って、自社の企業文化に適合する優秀な人を獲得する」といったものになる。このことを担保するために必要な手段が、ビジョンであり評価制度であり、人材開発の仕掛けである。
従って、HRM戦略の中位目標は、「すべてのHRMの部品は、好ましい人材を選ぶのに役立つよう造られなければならない」という方針を徹底するというものになる。例えば、ビジョンは、我が社に置いて優秀な人材とはこういう人だと規定すべきである。こういうことをしたいので、こういう人が必要とアナウンスしてもよい。
要は「我が社はこういう人が好きだ」ということが応募する人に分かるようにでなければならない。米国の航空会社サウスウエストエアラインでは採用の際、「こういう人ならうちの会社で上手くいく」と従業員が推薦する人を優先するというルールを持っている。企業文化というプラットフォームと人材の相性を良くするための工夫である。