競争に勝つためには、「こうすればよい」という基本になる公式があればよい。BCGの答えは経験曲線とマトリックスだが、マイケル・ポーターが出した答えは、競争に影響を与える5つの要因について分析し、その結果に基づき戦い方(コストでリーダーシップをとるか、差別化をするか、ニッチな市場に集中するか)を選択するという方法である。ビジネス戦略は、企業が狙う市場にたいする自分の立ち位置(ポジショニング)に即して策定されるべきだという考え方である。どちらもデータを集め、公式にあてはめて答えを出すので、どのよう企業の分析にも使うことが出来る。
では、米国で成功した日本企業は、この公式のように行動したのだろうか。この疑問は、ポジショニング学派と、戦略は学習から生まれると考えるラーニング学派との間に論争を巻き起こした。BCGは、ホンダは経験曲線を活かして、米国市場に参入したと考えた(1975英国政府にたいする報告書)しかし、日本の方法にも合理性があるという点ではBCGと同じでも、「Japanese Management」(1981)の著者リチャード・パスカルの答えは異なっていた。