時間軸基準にはいろいろな種類がある。例を挙げると、
(1)製品のライフサイクルの長短
(2)お客の要求納期の長短
(3)価格変動の速さ
(4)売る速度
(5)部材の入手に要する期間の長短
などなどが、それである。全体として戦略論でいう行軍速度に相当するもので、上記が競争相手より優れていることが競争に勝つための要件の一つである。
(1)〜(5)は、関連している場合が多い。
関島が経験したパソコンの例で考えれば、マイクロプロセサーの性能によりPCの性能も左右されるので、インテルのCPUのロードマップによってPCの製品サイクルも決められた。機種にもよるがおおむね、半年か1年ごとに新製品の発表があった。マイクロソフトのOSの変更も影響するが、個人の使用期間は長くても3〜4年、生産という意味でのライフサイクルは半年か1年であった。お客さんの納品要期もライフサイクルが短いPCの場合は極めて短く、入札ものでも受注決定後長くても1ヶ月程度、短いものは1週間後。個人の顧客であれば店頭にあるものを購入するので即日。注文の場合でもデルは翌日であったので、我々も「1日以内に納入」を目標にサプライチェーンの改善に努力した。
ライフサイクルが短いので、価格も発表時を100とすると毎月6%程度低下する。6か月後には半分程度になってしまう。マージン率は毎月低下するので、出来るだけ速く造って、早く売ることが求められるのだ。速く造るためには、部材メーカーに対する納品要求期間は短くなる。