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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(17)

 
ダイバーシティ活動の問題点2 リーダーシップ・トレーニングが不足

仕事を効率よくするためには、二つの力が必要

  女性が、昇進にしり込みする理由のひとつに、「管理職になると責任が増えて大変」というのがある。気持ちは分からなくも無い。確かに管理職になれば責任は増える。だからといって、全ての仕事を自分でしなければならないという訳ではない。部長も課長も一人で仕事をしているのではなく、組織を使って仕事をしている。組織を使う際に、マネージメントという能力とリーダーシップを発揮するという能力を使っているに過ぎない。

  マネージメント能力とは、目標を設定したり、実行計画を作ったり、仕事の範囲を指定したりする力である。リーダーシップとは、リーダーと従う人フォロワーとの間にうまれる関係で、人々を動機づけたり提案に賛成してもらったりするとき必要な力だ。仕事を上手に実行するためには、この二つの力が必要である。目標や仕事の分担範囲を決めて、命令で仕事を実行することはできるが、実行する人が、何故その仕事をするのかとか、やった結果どのようことが可能になるのかとかを理解し、喜んで取り組む方が効率がよい。

  

リーダーシップとは、経験を必要とする社会的スキル

  この二つの力を身に付けるにはどうするかが問題だが、マネージメント能力は見様見真似でも、ポストについてから学習することができる。ところがリーダーシップは、「リーダーの資質は生まれつき」という偏見もあるくらいで、簡単には学習できない。理由は、いろいろなタイプがあるだけでなく、状況により異なる発揮の仕方が求められるからである。

  人は、子供のころからリーダーとフォロワーの関係をたくさん経験していて、少しずつリーダーシップについて学習している。どうしたら、遊びに誘えるか、意見を受け入れてもらえるか、などなど。相手が友達であったり家族であったりしても、リーダーとフォロワーの関係は存在する。そのため、全くリーダーシップを発揮したことがないという人はいない。上手か下手かは別にして、ある意味、みんな経験がある。しかし、喜んで仕事をしてもらうためには、目指す目標(ビジョン)、そのためにチームが果たすべき使命(ミッション)、どのような過程をへて目標を達成するかという工程(プロセス)などを、相手に上手に説明する必要があり、リーダーシップを発揮するための手続きは複雑化する。

  相手が新入社員である場合とベテラン社員である場合では説明の仕方を変えなければならない。ベテランには大枠の指示で良いが、新人には細かい指示が必要である。また、攻めている場合と守っている場合、勝っている局面と負けている局面、短期と長期の課題などでもコミュニケーションの仕方は変わってくる。状況は千差万別で実際の経験から学ばないと対応が難しい。

 

大人は経験から学びにくい

  経験から学ぶには、(1)経験したことを振り返り、(2)そこから教訓を引出し、(3)次のステップを計画し、(4)新たな経験をし、また(1)経験したことを振り返り、というプロセスを繰り返さなければならない。ところが大人は子供の様には簡単には学べない。過去の経験がじゃまをするからだ。大人が経験から学ぶには準備が必要で、何か具体的な課題解決にこの経験が役に立つのではと考えたとき学ぶ気になる。その上で、経験してみて「ああ、そうか」と心が動く必要がある。そして、経験から引き出した教訓を実際の場面で使ってみることにより、初めて身に付く。
  経験は両刃の剣で、学習を妨げたり助けたりする。そのため経験から学ぶには、「この問題の解決には、どうしてもこれを学ぶ必要がある」と自分を動機づけたり、上記の(1)〜(4)を実行するために、学ぶとどんな良いことが起こるかを(例えば、英語を身に付けて、海外で活躍する颯爽とした自分)思い浮かべて努力を継続したりする必要がある。
 

Lead yourself

  自分で自分を動機づけるということは、リーダーは自分でフォロワーも自分という関係を創るということに等しい。経験から学ぶには、自分自身に対してリーダーシップを発揮する必要があるのだ。そのために、自分が本当にしたいことは何か、したいことを実現するためには何をしなければならないか、を考える必要がある。このことは自分自身を良く知る事やキャリアについて考えることにつながる。

  リーダーシップは学習できる。だがそのためには、リーダーシップとは何かを理解し、自分に適用しなければならない。

つづく
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