まず初めに、10年間の変化の中で最大のものである不確実性の増大にどう対処すべきと考えて書き直したかを取り上げる。
不確実性に対応するための方法論はいろいろあるが、関島が事業を経営する上で実際に使ってみて有効と感じているものに、「遠くが見える高台の見つけ方」と呼ぶ方法がある。これはいつも、「撃て、狙え、型戦略」とセットで考えることにしているが、敵がどこにいるか分からない時に、「まず、敵が居そうな藪に向かって撃ってみる」という考え方の補完方法である。
そもそも、「敵が居そうな藪」もどれだか分からない場合どうするか、である。どちらの方向に行けばよいかが分からない時、どこか遠くが見える高台に登って方向を定めるが、その高台view pointをどうやって見つけるかという方法論に相当する。
やり方は、二つの座標軸、例えば技術と市場を、プラスサイド(自分のよく知っている部分)とマイナスサイド(自分がよく知らない部分)に分けて4象限を作る。自分のビジネスの内容をこの4象限に当てはめると、通常、知っている技術を知っている市場に適用するというプラス、プラスの象限に入るものがビジネスの60%を占めているという形になる。知っている技術を新しい市場に適用したものや、新しい技術を知っている市場に投入したものもあるはずだ。
この各象限に一つか二つテストプロジェクトを設け、実行することにより、どの技術を深堀すればよいか、どの市場の知見を増やしたらよいか、技術と市場の新しい組み合わせの可能性はどこにあるかなど等、進むべき方向を見つけて行くというのがその方法である。