組織は分けた方が便利だから作られた。それ故、分業のメリットがある限り、ある意味目標はハッキリしている。区分された機能を効率よく実行すればよいだけだ。しかし分業という行為は欠点も持っている。壁が出来るのだ。権限を分けたことで専門性が高まるが、それゆえ他部門からの介入や助言を拒む傾向が出てくる。「余計なことを言わずに専門家に任せよ」である。
一方、自分は専門家としての立場から他の部門に「ああしろ、こうしろ」と言いたくなる。専門性に関する自負が問題を創り出す・技術分野では Not Invented Here といわれる弊害で、自分のところで開発されたもの以外は信用しない姿勢が、効率化をさまたげる。外部の優れた技術や知識、部品・材料をすぐには取り入れようとしないからだ。
また、実際の状況については十分な知識がないにもかかわらず経理部門が経営についていろいろ発言しすぎて方向を誤ってしまうバックシート・ドライバー問題というのもある。これも壁がもたらした効果のひとつである。