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コーヒーブレーク(58)

 
新チームビルディングの技術III 新しい形のチームワーク

チームワークの目標の変化

  ビジネスを取り巻く問題に複雑性の高いものが増えたので、生き残りの条件は、how to make, what to make から how to change に変化した。それによって、リーダーの役割が変わったように、チームワークのあり方も変わらざるを得ない。チームワークとは、「一人では作れない変化をつくるために必要なもので、メンバーの力を足した以上の成果を出すことが、目標。」という原則は、変化しないが、成果は、環境変化に対応するために「従来のやり方を大きく変更するのもの」にならざるをえない。

   複雑の高い問題に織組むためには沢山の専門家の協力が必要であるが、専門家それぞれの考え方や、問題へのアプローチの仕方は、いろいろである。そのため、まず、問題解決の大まかなプロセスについて意見の一致を得なければ取り組みはスタートできない。例えば、チームの目指す目標を、「上位の目標、それを達成するために必要な下位の目標」というように、階層的に把握し、その上で、目標をチームのメンバーの間で共有化し、役割が分担を決め、どのあたりで相互の進捗状況を報告しあうか、等についてである。そして、立ち上げ期、混乱期、などを経て、次第にチームは機能し始める。チームワークは活動を通じて出来上がるもの、という意味がこれである。

 

良いチームワークは、徐々につくられる。

  チームワークは活動を通じて出来上がる、ということを別な表現ですれば、「初めから良いチームや、良いチームワークは、存在しない」となる。例えば、目標の共有化というのは、口で言うほど簡単ではない。目標そのものには賛成しても、達成のプロセスについての意見は職能部門によって異なる場合が多いし、メンバーの大部分が、達成は困難と考えている場合も、共有化は難しい。まして、「わくわく度の高い目標が良い」といわれても、人によってわくわくするものは異なる。会社の場合、最大目標であるビジョンを作っても、建前論や理想論のように受け取られて、行動をガイドするものになっていないケースが多い。共有化は一定の手順を経て、少しずつ形成されると考えるべきなのだ。

  一定の手順とは、一緒に仕事をする過程で、@他のメンバーの専門性に気付いて、相手の意見に一目置くようになり、A議論の結果よいアイデアが生まれ、Bおかげで、問題解決に近づいたと実感できる「小さい勝利」を得ることができ、Cチームの進むべき方向に自信を深め、Dチャレンジを続ける。というサイクルの繰り返しである。

 

化学変化を生み出さなければならない

  チームワークは上記の過程を通じて形成されたもので、チームの目標を達成するために、自分はどういう役割を果たせばよいか、どのような場合に自分の役割の境界線を超えて努力しなければならないかに関する共通認識のことであり、他のメンバーの果たした役割を公平に評価し、認める姿勢である。それがないと、異質なものが混ざりあって化学反応を起こすような変化はおこらない。とくに環境変化に適応できるよう、従来のやり方を変えなければいけない場合は、新しい切り口が必要である。従来の方式を続けたい、という慣性は大きいからだ。

  理想的なチームワークというものは存在しない。そういうものが存在すればそれに向かって努力すればよく、ある意味、簡単なのだが、現実は、状況に応じてリーダーシップも、メンバーの協力の仕方も変えなければならないので、どの場合でも適応できるような理想的なものはない。それは、人を育てる方法に、だれにでも通用する理想的なやり方がないのと同様である。

  「改訂 チームビルディングの技術」は、複雑な問題に対処するための現実的な方法、すなわち、対応すべき状況の把握の仕方、状況に応じて必要な手段を選択するときの考え方を提言しているに過ぎない。次回は、how to change のために人材育成の考え方をどう変えなければいけないか、について説明しよう。

 

つづく

 
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