スピーカーは、Balakarthikeyan Nagarajan HR Executive Director − Employee Experience & People Analyticsで、演題は Employee Experience at GE: Leveraging Design Thinking and Analytics でした。
改革のポイントは、各人別に目標とする人物象(ペルソナというマーケティング用語を使っていました。顧客を特徴別に区分し、アプローチの仕方を考える時に使われます)を
設定、それに向けてどのような経験をさせるかを計画するというものです。期間は育成目標により異なりますが6か月から2〜3年で、その間に経験させる仕事や教育プログラムを配置、ストリー展開を想定し、「転機」をつくり出し、能力向上につなげるのが目的です。
「転機」という訳語が適当かどうか迷いますが、この場合、転機とはthat matter と呼べる瞬間のことで、「自分の次の役割は、これではっきりした!」とか、「クロトンビルに行くことになった、リーダシップの開発のチャンス!」とか「キャリアについて上司と議論でき目標がはっきりした」などなど、自己の能力開発に関し、意味ある切っ掛けをえた瞬間が想定されています。それによって自分の能力アップWhere do I start my developmentを考え始める契機となる瞬間です。
ペルソナの種類は、将来の経営幹部や専門職などこれまでのキャリアパスの分析から多数つくられ、本人のこれまでの経歴や資質など分析してマッチング、こういう順序で学習するのが良いのではとMap , Journey,とStory board (地図と旅程と筋書)を各人別に提案するとのこと。
このスピーチに対する参加者の反応ですが、「デザイン志向、分析的アプローチという考え方は、別に反対しないが、従来に比べていかにも手取り足取の感がある。それでいいのかなあ」という感じ。そこで保守派?を代表して関島が「幹部クラスの育成には、教えられるのではなく自分で見つけるが大事、と従来考えられてきたと思う。教育ママのように手取り足取するので良いのか、方針変更について経営幹部とどんな議論がおこなわれたのか?」と質問しました。答えは「議論は、特になし」でした。ウエルチ時代には考えられなかった反応で、経営幹部の人材開発に関する関心の薄さを感じました。GE経営陣は業績対策で忙殺されているのかも。人材開発側も専門知識中心でビジネスに対する関心は薄く、ビジネスとの距離が遠い時代が再現したようでした。「GE危うし」が、会食後のパーティーでのRAGベテラン陣の大方の意見でした。