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コーヒーブレーク(62)

 
新チームビルディングの技術V イメージできないことはマネージできない

表紙のデザイン

  「改定チームビルディングの技術」の表紙には、犬、猿,鳥のシルエットが書かれている。本の帯の「仕事は大変だが、面白い」という文章の直ぐ上、である。そう、これは、桃太郎の鬼退治を暗示していると、分かる人にはすぐ分かる。平成20年に出た「チームビルディングの技術」の表紙には、三人の人が梃の原理を使って重い物を持ち上げる様子のシルエットがあり、チームワークによって、一人一人の力の合計よりも大きな力が出せることを表現しているが、桃太郎の鬼退治は何を現しているのか。
 この質問に、昔の部下の一人が、「チームワークには、役割分担と多様性が必要」と答えたので、「踏み込みが甘い。50点! 桃太郎がいないことに気が付いていないし、鬼は誰かも考えていない」と冗談半分でたしなめた。桃太郎がいないのは、チームビルディングには、先頭に立たないリーダーシップが必要なことを現しているのだ。退治すべき鬼は、「従来どおりのやり方」である。

 

甲子園の毎年初出場校がでる理由

激改定版の9節で、わくわく度の高い目標を掲げよう、と提唱した。旧版の9節とタイトルは同じだが、小項目に「イメージできないことはマネージ出来ない」が、付け加えられている。何かを実行するとき、実行できた時の状況や実行のプロセスが、具体的に頭に浮かんでいることが大切なのだが、どうも最近の課長さんは、こういうことが上手ではない。これは、自分で計画を立てて、自分で実行するという経験が乏しいためかもしれない。子供のころからよくお膳立てされたプログラムに従って勉強、会社に入ってもマニュアルや上司の指示に従って仕事をしてきたためではないかとも疑われる。
「甲子園に行こう」という目標の場合、わくわく度も高いし、そのために必要な能力や練習の厳しさも十分イメージできる。だから良い目標なので、そのため毎年、初出場校が生まれるのだ。自分で成長するためには、目標を決め、それが達成できた時の嬉しさや楽しさ、そこに至る道筋についてイメージができなければならない。

 

イメージは、始めからハッキリしていなくてもよい。

  「甲子園にでる」という目標の場合、「そんなの無理、無理」と野球部の皆が考える場合、目標とはなりえない。「こんなことができれば、甲子園も夢ではないのだが」という少しだけ具体的なイメージがあれば、夢の実現性は高まる。イメージの重要性は、ここにある。
イメージは、「こんなことが出来ればよいなあ」というある意味、無責任な希望からスタートする。そのうち「こんな条件が揃えば」というイメージが生まれ、そのうちの一つとか二つが達成できると、もしかして甲子園に行かれるかもしれない、となり目標は目標らしくなり始める。県大会の3回戦で、1番センターとして、センター前ヒット、脚を活かして、盗塁とか、タッチアップの走者をバックホームでアウトとか、といった活躍をイメージできれば、始めは、十分なのである。やがてチームとして、ヒットエンドランで1,3塁とか、5−4―3のダブルプレーでピンチを脱出とかいった経験が出来るようになると、一歩前進で、次のイメージ、「有力校にオープン戦で善戦」などが浮かんでくる。要は、イメージがだんだんはっきりしてくれば良いのだ。やりたいことのイメージをつくりそれが出来た時のうれしさのイメージを膨らませていくのである。
 スポーツに限らず仕事も、イメージできなければマネージできない。仕事の段取りや途中ぶつかりそうな障害、リスクなどが事前にイメージできなければ、やりとげることはむずかしい。A君にあたえた役割は、経験から見て少し重たい。このあたりで、へばてくるから、その時はB君に手助けさせよう。こういう方針で進めるが、このあたりまで来たらもう一度部長に相談に乗ってもらおう、などなど。プロセスを明確にイメージできれば、対策はたてられる。イメージできれば、マネージできるのだ。

 

つづく

 
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