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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(67)

 
新チームビルディングの技術X「先頭に立たないリーダーシップ」という考え方3

学習とは何かを知る必要がある。

  一試合ごとに強くなるためには、経験から学習できなければならない。リーダーの仕事は、経験を振り返り学んだこと(以下AH・HAと表現)は何かを、メンバーに考えさせることで、この場合は、裏方ではなく、見本となる様、先頭に立って努力しなければならない。だが、大人は子供のようには経験から学ぶことはできない。経験から創られた自分の意見、持論が、邪魔をするからだ。この問題を上手に回避するには、「学習するとは、どういうことか」を、リーダーは理解しておかなければならない。
  学習とは、刺激をうけたことに反応し、行動様式が変化することだが、「この関係のことは、私が一番よく知っている。」という態度では、新しい経験をしても、行動様式は変化せず、学習はおこらない。大人が学習するのは、「ああそうか、こういうことだったのか」と感じた時である。心が動かなければならないのだ。

 

学習には「刺激」「反応」「統合」の三局面が必要

  学習には@経験する(刺激をうける)AああそうかAH・HAと心が動く(反応する)BAH・HAを実際の場面で使ってみる(刺激と反応を統合する)、の三つの局面が必要である。込み入った理論のように思われるかもしれないが、これは多くの人が小学校や中学校で経験している。先生が好きだとその学科が得意になるという現象を整理したものだ。@算数を習った。A先生が好きなので、先生に認められたいと思った。Bそれで予習、復習をした。その結果算数ができるようになり、自信もついた、である。
  大人に学習させるためには、この三局面を考慮し、カリキュラムを準備する必要がある。大切なのは、心を動かせることと、学んだことを実際に適用する機会を作ることである。ただし「心が動く」とは、肯定的な反応だけを意味するのではない。驚いた、混乱した、怒った、反対、でもよい。従来の考え方を振り返るきっかけとなればよいのだ。

 

理論と実践の間を行き来きしなければならない。

  勉強した理論は、実際の場面で使ってみて、初めて本当に理解できる。実際の場面に当てはめてみると、理論の十分でないところにも気が付く。自分の勉強の足りない部分も分かってくる。理論と実践の間を行ったり来たりすることが大切なのだ。
  欧米の場合はこの仕掛けが社会的に整備されている。
  大学を卒業して仕事につく。仕事別採用なので、大学で学習したことを活用できる。
  仕事を経験しお金も貯めたらMBAをとるためにビジネススクールにいく。戦略論やマーケティングの知識を学び仕事に活用する。マネジャー職につく。部下の扱い方や会計学などで最新の知識を得たいと思えば、各大学が提供する社会人向けの単発プログラムを受講する。MBAの資格を持たず体系的な知識の不足を感じる人は、エクゼクティブMBAと呼ばれるマネジャー向けのコースに挑戦する。事業部長などの上位職務につく。その中で優秀とみなされれば、ハーバード大学やコロンビア大学のシニアエクゼクティブ・プログラムと呼ばれる選抜教育コースに派遣される。職場に戻って競争に勝ち抜き役員となる。勉強、仕事、また勉強の繰り返しである。大学、MBA、選抜幹部教育、といった教育インフラストラクチャーが整っているのだ。
  日本の場合は、MBAプログラムは増えてきたものの大学の上級幹部教育プログラムはあまり整備されておらず、経団連や能率協会、それぞれの企業の研修所などがその役割の一部を担っているに過ぎない。そもそもビジネスパーソン側に理論と実践を往復しなければいけないという感覚が希薄である。社会的インフラの整備とビジネスパーソンの意識改革は、今後の日本の大きな課題の一つである。

以上

 
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