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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(69)

 
新チームビルディングの技術XI経験から学ぶにはA

経験の再利用性を高める

  学習のプロセスには、刺激・反応・統合の3局面があるが、統合の局面では、「学んだことを共有化しなければならない」と説明してきた。ここでの共有化とは、学んだことを「単なる知識」として身につけるのではなく、「実際の場面で使うことができる能力」に転嫁させることである。だがそのためには、経験の再利用性を高める必要がある。同じ失敗を繰り返さないためには、一つの失敗という経験から、他のことにも役立ちそうな要素、例えば、「?をするとき注意しなければならないこと」を抜き出して、項目別に整理し、マニュアルに載せなければならない。

 

抽象化と具体化

  他のことにも役立ちそうな要素を見つけるには、今回の失敗の原因と過去の失敗の原因との間に共通する部分を見つけ、リストアップする必要がある。
このように、多数の事例から共通する要素を抜き出し、それを言語化してラベルをつける作業を抽象化という。抽象化により同じ失敗を防ぐことが可能になる。一方、ラベルに表示された事柄、例えば「事前準備」とある場合、事前準備に該当する事柄を、もれなく思い浮かべることが出来なければ、失敗を防ぐことはできない。抽象化されたものから具体的な事例を引き出す作業を具体化と呼ぶ。要は、学んだことを実際の場面で使うことができる能力に転嫁させるためには、抽象と具体を行ったり来たりする能力が不可欠なのだ。

 

戦略実現能力が肝心

  学んだことを実際に使えるものにするための作業を学習理論では、統合と呼ぶ。この作業無くしては、学習は完結しない。
  現在の企業間の戦いは「戦略の優劣で決まる」とされているが、戦略は実行されなければ意味がない。優劣には戦略の実現能力も含まれるのだ。それ故、戦略の実現に不足する能力があれば、「自分で育てるmake」 か、「外部から入手 buy」しなければならない。企業は現在持っている能力だけで闘うのではなく、今後獲得する能力も含めて闘うことになる。このことを重視する戦略論を Dynamic Capability 論とよび、近年盛んに研究されているが、従来にも増して「自分で育てるmake」の重要性が高まっている。要は,一試合ごとに強くならなければ、競争に勝てないのだ。一つの経験から学んだことを次に生かす能力、すなわち、経験の再利用する能力の有無が勝敗を左右する。よって、抽象と具体を行ったり来たりする能力がチームに不可欠なのである。

以上

 
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