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州と連邦の権限について

アメリカは合衆国 United States であり州という国の連合体ですが、軍事・外交に関する権限と必要な税金を集める権限は、連邦に委譲されています。また州にまたがる可能性のある問題も連邦が取扱います。例えば商品や顧客が州の国境を越えて移動する場合は連邦政府の規定が適用されますが、そうでない場合は州の規定が適用されます。ちなみに犯罪も同様で州にまたがる犯罪はFBIが担当、そうでない場合は州の警察担当です。

今回の訴訟の理由は、商品を買えと命令する権限は、連邦に委譲されていないという点にあります。健康保険料をおさめるということは保険給付を受ける権利を「買う」ことだという感覚は、日本の場合少し理解しにくいかもしれませんが、任意の自動車保険に加入する場合を考えると分かりやすいとおもいます。加入の是非、どのくらいのカバーにするか等は自分で選択するわけで、サラリーマンが厚生年金保険料を払う場合とは事情が異なります。

日本の場合、任意の自動車保険は「買う」感覚、健康保険や年金は給与から天引きされるので「税金」といった感覚でしょう。しかし、アメリカの場合はこれまで健康保険も各人が加入(企業の従業員は会社が提供する基礎的な健康保険に任意で上乗せする)ので、「買う」なのです。

最高裁は、今回導入する国の健康保険は、強制なので税金に近い、よって連邦に権限があると判断したものですが、これまでのアメリカ人の感覚からは、かなり無理のある判決(政治的判断と批判されかねない)のように思われます。また、税金なら増税ということになり反対も強くなるので、必ずしもオバマ有利とはならないかもしれません。

(解説:関島康雄)

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