75歳まで働いてもらいたいような従業員を増やすために、会社として何をするかだが、一番基本的なことは、会社が期待していることを明確にすることである。例えば、どういう従業員が好きだとか、どういう仕事のやり方が好きだとかである。ビジョンというものに相当するのだが、抽象的でなく選択したビジネスモデルと連動する具体的なものがよい。
能力開発についての例をあげると、ビジネスモデルの変更、M&Aなどが起こりうるので、「会社は永続的な雇用を保証することは出来ない。しかし、雇用は保証できなくても、よその会社に行っても使うことができる能力を身に付ける機会を提供することは保証できる。機会を提供するが、その機会を利用するか、しないかは個人の判断による」。つまり、能力開発の責任は双方にあるというスタンスを従業員にハッキリと示す。これにともない会社は、幅広く教育プログラムを提供する責任を負うことになる。提供できない場合は、社外のプログラムを利用できるよう、給与にその費用を載せるだけでなく学習のための休暇も取りやすくする必要がある。
この原則に従って能力開発に努めれば75歳まで働いてもらいたい人は増えるはずだ。75歳まで働いて欲しい人とは、どこの会社にいっても役に立つような専門能力を持つプロ人材であるからだ。