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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(78)

 
How to change 時代の戦略H 個人が準備しなければならないこと
 
 

キャリア目標


キャリアは偶然の出来事により形成される

  キャリアについての私の考え方は、「計画された偶然性理論」に基づいている。「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事により形成される。ただし、自分にとって好ましい偶然が起こるように日頃から能動的な行動をとっている人には、結果的に好ましい偶然が計画したようにおこる」という考え方だが、振り返ってみるとその通りだと思う。
  日立の人事部門で、将来の経営者を育成するための教育プログラムの開発を担当した時である。アメリカの大学には経営幹部育成プログラムがあるところが多いが、どんなものか知るために実際に経験してみてはどうか、という意見が出て、コロンビア大学のプログラムに関島が派遣されることになった。
  経営幹部育成プログラム入学には「CEOの推薦状と論文の提出、面接試験のパスが条件」という学校が多い。コロンビア大学も同様で、面接試験を受けることになった。「不合格だったらどうしよう。カッコがつかないなあ」と心配しながらニュヨーク行の飛行機に乗ったことを覚えている。
  ところが、この心配は無用であった。本社の人事部門の課長の時代に海外からの研修生を受け入れ指導したことがあり、そのうちの一人がコロンビア大学の大学院生の女性であった。なんとこの女性が面接官だったのである。「関島さん、お久しぶり、お元気?」というわけでお互いの近況報告で面接は進み、合格となった。自分にとって好ましい偶然が起こったのである。
  コロンビア大学の経営者プログラムのテーマは、「五年後あなたは何をしたいですかという問いに、はっきり答えられるようにする」というもので、研修の最終日に各人が発表するのだが、私の五年後にしたいことは、「将来の社長候補性を、部長群の中から研修を通して選び出していくプログラムを作成し実施する」であったので、プログラムの草案を作成、発表した。
  発表に対し、本当に育成できるのか、各企業の人事担当者が役に立つプログラムと受け取って、本当に社長候補を派遣してくれるのか?募集方法は?費用は?研修場所は?適当な講師を見つけられるのか?等々、同僚の研修生から厳しい意見がなげかけられた。
この研修のお陰で、自分のキャリア目標もはっきりした。「人材マネジメントの分野、なかでも人材育成について、しっかりした意見を持つ」がそれである。その後ローテーションにより国際調達部門に移り、世界中から必要な資材を買うことが出来る人材の育成に力を注ぐことになり、海外の子会社に業務研修生を派遣する制度の充実などには上記の経験を活用することができた。さらに、定年で日立製作所を退職した後に3Dラーニング・アソシエイツという人材マネジメントの会社を立ち上げ、現在も活動を続けている。面白いのは、人材育成だけでなく、ジョブグレード制の導入などの給与制度との関連についてもアドバイスを求める依頼が出てきていて、もう一度人材マネジメントの全体と部分の関係について考えることが必要になったことで、お陰で知識の再整理と、論理の整合性の検討を迫られたが、私自身に大変有益であっただけでなく、大変おもしろかった。

以上

 
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