海外事業に携わったことがある人は気がついていると思うが、例えば日立は、良くも悪くも世界中どこへ行っても日立であり、GEはGEである。それは、それぞれの企業が自分の特徴点を活かして闘おうとするからで、経営者が日本人であったり、アメリカ人であったりするからではない。進出先の文化や制度にあわせた経営の仕組みを取り入れたとしても、「日立が日立である理由」を放棄してしまったら、恐らく競争に勝てないと思う。
実は80年代、「日本企業が日本企業である理由」はハッキリしていたが、個々の企業が「自分が自分である理由」は、あまりハッキリしていなかった。それでも競争に勝つことができたために、90年代以降、苦戦を強いられるようになったというのが私の観察である。要は、海外での競争が、経営のどの部分を進出先に適応させ、どの部分を自分流で行くかという選択で争われるとすると、答えはいろいろあるという気がする。