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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 

VOL.104  人材の特定―再論―(1)我が社はこういう人が好き

 
  21C型人材マネジメントは、ビジネスモデルが変化にすばやく対応出来るよう支援するのが役割である。6つの部品の山のなかから、適切なものを取り出して施策の束を創り、ビジネスを支援する。初めの部品の山が「人材の特定」に関係する人事勤労施策である。

「人材の特定」とは、具体的には、(1)応募者の中から誰を採用するかを決める、(2)誰をどこに配置するかを決める、(3)教育の機会を与える人を選ぶ、といった作業である。それぞれ、ふさわしい人を特定する必要があり、そのための施策を部品とみなしている。

 

採用は、プロ人材と見習の二種類、ビジョンの役割が大きい

  人材の特定の第一歩である採用について考えてみよう。採用方式は、前に説明したように21C型の場合、基本形は、「この指とまれ」で、ビジョンと仕事の内容を示して、賛成する人は応募してくださいというやり方である。対象は、仕事別に採用するプロ人材と、見習として入社し将来プロをめざす人材の二種類。前者は個別労働契約だが、後者は一律労働契約(危険手当など仕事に付属する手当は別)、プロと認定時、個別契約に切り替える。

  「この指とまれ」方式の場合、ビジョンの役割は、従来に比べ大きくなる。仕事別に自律度が高いプロ人材を多く採用し、仕事を任せた場合、組織全体として進むべき方向が定まらない可能性が高くなる。それを防ぐものがビジョンである。「我々はこの方向に進む。それに賛成する者は参加してくれ」と、進む方向を明示するものでなければならない。ビジョンとは、道に迷った時、高いところに登って探すと、遠くの丘の上に見える旗のようなものだ。「目標」であり「道しるべ」でもある。

  ビジョンは同時に、なにを大切と考えているか、どういう仕事のやり方が好きかなど、自分の組織の特徴点についても説明するものでなければならない。仲間になって欲しい人に良く知ってもらいたいからであり、既に仲間になっている人がビジョンから逸脱した行動に走らないよう境界を示したいから、である。特に仕事のやり方の好き嫌いは、業績評価に影響するので、明示が必要である。

 

求める特性の一つは、Accountability

  配置や人材育成にあたって人材を特定するために必要なものは、専門的能力(この場合マネジメントの能力も含めての、ポスト別専門能力を意味する)であることは、論を待たない。ビジネスモデルによって、求める専門性のタイプは異なるにしても、自分の専門分野についての自己認識がきちんとできている人を選ぶ必要がある。

英語で言うとAccountability という単語がぴったりなのだが、日本語にするとあまり適当な訳がなく、分かりにくい。要は「自分のしたことを、成功でも失敗でも、他人に明確に説明できて、結果に責任を負う」能力のことだが、概していえば専門性の自己認識のレベルが、抽象度が高い人ほど柔軟性が高いといえる。

例を挙げれば、自分をパソコンのエンジニアと考えるか、オーディオ・ビジュアル技術の専門家と考えるか、ソフトとハードの融合製品に強い技術者と考えるかの違いである。後者になるほど、適合分野は広い。変化の激しい時代は、本人が転職しなくても会社の方が転職してしまうケースがしばしばである。そういう時に仕事の変化に対応できる能力は極めて重要である。

 

静かな自信

  変化の激しい時代は、別な表現をすれば、不確実性が高く、どちらの方向に進んだらよいかはっきりしない時代ということが出来る。「安全、安心が第一」という人には不向きな時代である。だが、Accountability がある人は、自分に自信があるので、進むべき方向が定まらない不安定な状況でも、あまり不安がらない。急な環境条件の変化があってもバタバタせずに、対応策を考えられる。また、仕事に関する責任感が強いので、目標を簡単にあきらめたりせず、いろいろ工夫できる。これらを総合すれば、自分に静かな自信がある人ということができようか。

不確実性に対する準備readiness が出来ている状態と定義できる。一方で、変化に対応するためには、俊敏に行動できることが望ましいが、結果も大事である。「強い者が生き残るのではなく、変化に対応できた者が生き残る」が進化論の原理であり、個人も組織も自己の変革を成し遂げなければ生き残れない。

  変革作業は、旅行journey にたとえられる。プロセスも大事だが、目的地にたどり着かなければ意味が無いからだ。時間もいくらかかってもよいという訳ではない。しかるべき時間制限内に達成しなければ、生存が難しくなる。結果を求めて粘り強く努力できる性質が求められるが、それも静かな自信の一部である。

 

 

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