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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 

VOL.91  リーダーシップ開発(12) 状況的リーダーシップ論

リーダーの行動は、状況によって左右される

  コラムVol.83で、ミシガン大学の研究に触れ、「リーダーががみがみ言うのは業績が悪いからで、業績が良ければその必要はないのでは」という疑問から、状況的リーダーシップ理論が生まれたと説明した。具体的に、リーダーの行動は状況によって異なるということを発見したのは、F.Eフィドラーで、「状況がリーダーに好意的かどうかでリーダーシップのとり易さが異なる」と考えた。(1967)

  好意的とは、
(1)リーダーと部下の関係が良い
(2)やるべきことが明確
(3)実行に必要な権限がある
の3つである。

好意的であれば業績はあげやすく、そうでなければ業績は上げにくいというわけだ。実際は、リーダーは部下との関係が悪ければ、改善努力をする(コラムVol.84で述べた「構造づくり」と「配慮」のような行動)ので、好意的かどうか、と業績が直接的には結び付かないのだが、状況とリーダーシップの関係を考えることの必要性を指摘した点で、評価に値する研究といえる。
 

部下の成熟性によってリーダーは行動を変えるべき

  部下の成熟度によってリーダーは対応を変えるべきと考えたのは、前にも触れたハーシーとブランチャード(1977)で、成熟度とは、能力と意欲で判定される。例えば、能力も意欲も十分でない未熟な部下には、指示命令型でよい。能力は高いが意欲に欠ける部下には、課題の取り組みに巻き込んでしまう参加型がよい、等がその対応策で、経験を積んだマネジャーが納得できる理論と言える。

  この考え方をさらに進めると、各人の思考スタイル(ハーマンモデルHBDI Herrmann Brain Dominance Instrument だと4タイプ、A:分析する人、B:組織する人、C:人間関係を重視する人、E:視覚化する人)に応じて、コミュニケーションの仕方を選択するとよいとなるが、そうなるとリーダーシップ理論とマネジメント理論が融合し、別なテーマ(たとえば創造性開発や組織論)の解決法といった趣になる。

 

考慮に入れなければいけない状況の種類はたくさんある

  部下の成熟性以外にも考慮に入れなければいけない「状況」はいろいろある。例えば職務の特性である。職務記述書で規定された職務の範囲が狭ければ、リーダーがフォロワーに期待することとして広い範囲のことを提示しても、実力的に、あるいは職務権限の上で実行できないことが出てきてしまい、動機づけにかえって悪い影響を与えかねない。また、成熟度の低い部下には指示命令型、と前項で述べたが、マニュアルや作業指示書が整備されていたり、指導員が配置されたりしていれば、それらがリーダーの指示の代わりをするので、リーダーは細かいことを言わなくても済む、という「状況」もある。

  リーダーの意思決定の際どのくらい部下の意見を取り入れるかという問題もある。通常上司は広い範囲の問題を取り扱うので、特定の問題、(人事勤労部門でいえば年金と昇給制度の関係など)については、部下の方が詳しい場合も多い。そのため部下の意見を取りあえず聴く必要が出てくる。採用するかどうかは別途判断するとしても、今後の議論にどの程度参加させるかは、決めた方が良い。これも「状況」の一つである。

 

全ての状況には対応できない

  「リーダーは、状況に応じて、対応の仕方を変えなければいけない」という説は分かりやすい。しかし「状況」の種類が多いとすると、そのすべてに対応可能と考えるのは、現実的ではない。状況の研究が指し示すことは、リーダーが一人で状況に対応するのではなく、不得意な部分は、誰か得意な人の応援を受けて対応するべき、と主張していると理解するのがよい。

実際、社長と副社長、社長と経理担当役員、工場長と総務部長など、その組み合わせに配慮するのは人事政策上、当然のことである。「サブリーダーは、補完的関係にある人を選ぶ」が、状況に対応するための方策の一つ、ということになる。

 

状況を改善するように働きかけることはできる

  リーダーは一人で「状況」のすべてに対応することはできない。だが、サブリーダーの選択の例に見るように、状況を改善するよう働きかけることはできる。部門間のコミュニケーションに問題があれば、人材を入れ替えたり組織変更をしたり、飲み会を企画したりと、対策はある。では前回のコラムVol.90で説明したチームビルディングの場合はどうか。次回は、状況が流動的で、動く場合の対処策の事例として、チームビルディングの再リーダーの役割はどのように変化するかを取り上げてみたい。

 

 

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