働き方改革の目的は、簡単に言うと「生産性を向上することによって、余裕時間を生み出し、失われがちなライフ・バランスを取り戻す」になる。ところが、この定義は、誤解を生みだす原因ともなる。生産性の向上は、ライフ・バランスを取り戻すのに必要であるだけでなく、世界中の競争相手に勝つためにも必要なのだ。
ライフ・バランスを取り戻せば元気が出て、より効率的な仕事が出来るとか、創造的な仕事に取り組めるはずとかの意見はありうる。この意見では、余裕時間が先で生産性の向上が後だ。それなら、職住接近やフレックス・タイムも答えになりうる。しかし、それだけでは、「密度薄く、仲よく、長く働く」働き方の改善には、直接的につながらない。拘束時間の改善はしたが、働き方は変わらないかもしれないのだ。もっと確実に効率向上が出来る方策に取り組むべきと考える。なぜなら、長寿命化に備えなければならないという会社、個人の双方が取り組むべき大命題の解決に、生産性の向上は不可欠だからだ。
個人は、長寿命化に備え、専門性を高める努力や、時代遅れになった知識をリフレッシュする必要がある。一つのキャリアだけで75歳まで働くのは難しいので、幅広い知識の習得も心がけなければならない。平穏な時代に慣れ過ぎた自分を、変化が激しい時代に適応できるよう鍛え直さなければならない。いろいろあって、勉強する時間を確保は喫緊の課題である。